「病院で、子どもがノロウイルスっていわれた…」
「点滴して帰されたけど、治療ってそれだけ?」

冬に流行し、全国で猛威をふるうノロウイルス。この記事では、

  • 病院で行う治療
  • 自宅でできる対処法
  • 家族にうつさないための対策

…を中心にご紹介します。診察時に質問する余裕がなく、後になって疑問や不安を抱くこともありますよね。

ノロウイルスで病院に行くときのために、ぜひ参考にしてください。

1.ノロウイルスの症状

ノロウイルスは毎年、秋から冬に流行する感染性胃腸炎です。感染すると、

・前触れない突然のおう吐
・繰り返す吐き気とおう吐
・トイレから出られないほどの下痢と腹痛

…といった症状が現れ、治るまでに次のような経過をたどります。

ノロウイルスの経過

① 感染から発症まで
…ほとんどの人は無症状
…胃の痛みやお腹の張りを感じることもある

② 発症から症状が治まるまで
…急なおう吐が起こる
…吐き気やおう吐と共に下痢になる

③ 症状が落ち着き治るまで
…激しい症状は 1~3 日ほどで治まる
…1~3 週間で便からのウイルス排出もなくなり治癒する(他者に感染しなくなる)

健康な大人であれば 3 日間ほどで症状が落ち着きますが、子どもや高齢者は長引くこともあり注意が必要です。

また、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状だけで済むこともあります。

ノロウイルスの症状についてさらに詳しく知りたい方は「ノロウイルスの症状|7つのセルフチェックとすばやく治すベストケア」の記事もぜひ、ご覧ください。

2.ノロウイルスと病院

ここからは、ノロウイルスの疑いで病院に行くときのケースをご紹介します。

2-1.病院に行くべき判断基準

ノロウイルスでは、必ずしも病院に行く必要はありません。病院に行っても、ノロウイルスそのものに効く薬や治療法がないためです。

ただし、年齢や持病などによっては重症化しやすいため受診すべきケースもあります。ノロウイルスが疑われるときは、

・大人の場合
…無理に受診する必要はない
・子どもや高齢者の場合
…脱水になりやすいため慎重に経過をみる

…という基準を参考にしてください。ただし、以下のようなときには注意が必要です

病院に行くべきケース

□ 半日以上の間、水分が摂れていない
□ 腹痛がどんどんひどくなっている
□ 1 日 10 回以上の下痢
□ 血便や黒い便が出る
□ 高熱がある
□ ぐったりとしている

これらの項目の症状が一つでもあればすぐに病院へ行き、医師の診断を受けてください。

2-2.病院でのノロウイルス検査と診断

ノロウイルスは、健康な大人であれば病院に行かなくても自然治癒します。

ただし病院に行くメリットもあるため、ここからは受診時に行う検査や診断について、詳しくご紹介します。

◆ 受診する診療科

ノロウイルスで病院を受診するときの診療科は、

・内科(子どもは小児科)
・消化器内科
・胃腸科


…です。いきなり駆け込むのではなく、先に電話して、症状を相談したほうが良いでしょう。病院を選ぶ際には、以下のサイトも参考にしてください。

おすすめ「病院検索サイト」

また受診時の注意点として、

・現金と保険証、おくすり手帳を持参する
・ほかの感染症を防ぐためにマスクを着用する
・突然のおう吐に備えてビニール袋を用意する
・帰宅後には必ず手洗い・うがいをする

…これらを忘れないようにしてください。

◆ 検査と診断

通常、ノロウイルスでは病院に行っても検査は行われません。ただし本人が自費での検査を希望した場合や、一部の方には以下のような検査が実施されます。

ノロウイルスの迅速検査

【検査方法】
…検便を行い、簡易キットを用いて調べる

【特徴】
…30 分ほどで検査結果が出る
…70 %ほどの正確性(感染していても陰性と出る場合がある)


【費用】
…全額自己負担で 3,000~5,000 円ほど
(3 歳未満と 65 歳以上、または特定の持病がある人のみ保険適応)

また上記の検査とは異なり、遺伝子を検出してウイルスの有無を確認する『精密検査』もあります。ただしこの精密検査は結果までに 3~10 日間、費用は 1~2 万円ほどかかるため、専門の検査機関での対応となります。

ノロウイルスの検査については、「ノロウイルスの検査|保険適用で受けられるケースと診断の流れ」の記事でも詳しく、ご紹介しています。

◆ 医師の診断

ノロウイルスの診断は、検査を希望しない限り、基本的に問診のみが行われます。多くの場合、

・詳しい症状
・症状が出始めた時期
・おう吐や下痢の回数
・症状が出る前の食事
・周囲の感染者の有無

…などを聞かれるので、受診前にメモを用意しておくと安心です。

ノロウイルス,病院  病名はノロウイルスでなく「胃腸炎」

胃腸炎の原因は主にウイルス性と細菌性。ただしそのなかでも複数の種類があるため、問診のみでノロウイルスと断定することはできない。感染の疑いがあれば「胃腸炎」と診断される。

2-3.ノロウイルスの治療法

ノロウイルスに直接効く薬はありません。病院を受診しても、処方されるのは吐き気止めや整腸薬など、症状を和らげる薬です。

そのため療養の基本は、時間の経過とともにウイルスが排出され、症状が落ち着くのを待つことになります。

自宅療養中は、安静と水分補給を基本として、

・吐き気が落ち着くまで飲食を控える
・下痢のみであれば喉の渇きに合わせて水分を摂る
・おう吐が治まるまで焦らず待つ

…といったことを意識すると良いでしょう。飲み物は「経口補水液」、または「スポーツドリンクを水で 3 倍に薄めたもの」がおすすめです。

ノロウイルス,病院  発症初期に市販薬は使わない

発症直後に下痢止めや吐き気止めを服用した場合、ウイルスの排出を妨げ症状が長引きやすい。ただし市販の『整腸薬』であれば、吐き気が落ち着いた後に用いても良い。

3.周囲に感染を広げないために

ノロウイルスは感染力が強く、症状が治まった後も便からは 2 週間ほどウイルスが排出されます

そのため複数人でトイレを共用している場合は特に、感染が拡大するおそれがあります。感染した方だけでなく周囲の方も、以下のように対策すると良いでしょう。

二次感染を防ぐためのポイント

・感染者がトイレを使うとき
…蓋をしてから水を流す
…使用後は塩素系消毒液※でドアノブ、レバー、洗面所を拭き取る

※ 水 500 mlに、塩素系漂白剤(キッチンハイター〈花王〉など)2 mlを混ぜたもの

・家族がトイレを使うとき
…使用前にドアノブ、レバー、洗面所を拭き取る
…使用後は石けんで 15 秒以上手洗いをする

・手洗いの徹底
…同居する人全員が食事前、調理前、トイレ後の手洗いを行う
…石けんを用いて 15 秒以上かけて洗う

・布類の消毒
…感染者の衣類は消毒液を用いて下洗い
…じゅうたんなどはスチームアイロンで熱消毒


・部屋の換気
…1 時間に一度は窓を開けて空気を入れ替える

部屋や物への消毒も大切ですが、人から人への感染の多くは手に付いたウイルスが原因となります。感染リスクを減らすために、こまめな手洗いを心がけてください。

4.まとめ  

ノロウイルスで病院に行くケースについて、まとめました。

病院に行くべき判断基準
  • 大人は無理に受診する必要はない
  • 子どもや高齢者は慎重に経過をみる
    ※ ただし、年代にかかわらず症状が重いときは必ず受診

診療科目
  • 内科
  • 消化器内科
  • 胃腸科
  • 子どもは小児科 など

検査と診断

・基本的には検査をせず、問診のみで診断する
・希望すれば検査を受けられるが全額自己負担で 3,000~5,000 円ほど

ノロウイルスと思われる症状があるとしても、症状が重くない限りは慌てて病院に行く必要はありません。

まずは落ち着いて、吐き気が治まるのを待ってから受診するべきか判断するのが良いでしょう。

◆ 参考文献