「ノロウイルスのとき、いつまで休めばいい?」
「ほかの人にうつる可能性ってある?」

ノロウイルスでつらい症状が続いた後、ふと『いつから出勤して良いか』という疑問が浮かぶ方も多いはず。

ここでは、ノロウイルスのときに、

  • 仕事を休む期間
  • 休暇の種類と提出書類
  • 周囲に感染を広げないための予防策

    …など、仕事に復帰するまでのポイントをご紹介します。ノロウイルスにかかった際に必要な行動と注意点として、ぜひ参考にしてください。 

1.ノロウイルスとは

1-1.流行期と主な症状

ノロウイルスは、激しい胃腸炎の症状が急に現れるのが特徴です。

ノロウイルスとは

・流行期
…11~2 月の冬季に集中している

・感染経路
…カキなどの汚染された食品による「食中毒」
…吐物や便などからの「二次感染」

・潜伏期間
…原因ウイルスに接触してから半日~3 日間

・主な症状
…吐き気が強く、おう吐に至る
…激しい腹痛と下痢

特に発症直後は、おう吐や下痢が連続して起こりやすいため「病院に行こうとしてもトイレから離れられなかった」との体験談も多いです。

また、人によっては熱が出ることもあります。

1-2.発症から復帰までの流れ

ノロウイルスは大人の場合、治るまでに 2~3 日間ほどかかります。

ノロウイルス,出勤  ノロウイルスに特効薬はない

病院に行ったとしても、吐き気を抑える薬と整腸薬が処方される程度。そのため、受診の有無によって完治までの期間に大きな差はない。

2.職場復帰に向けて

ここからは、社会人がノロウイルスになったときのために、

  • 職場復帰の目安
  • 食品を扱う職業の場合
  • 検査や診断書、有給について

…といった情報をご紹介します。

2-1.必要となる休みの日数

結論からいえば、出勤に関してはおう吐・下痢の症状が完全に治まった後、最低でも 2 日間は休むべきです。

この日数は以下の、専門家の見解に基づきます。

ノロウイルスに感染したときに、学校や会社を休む期間は法律では定められていません。登校・出社に際しては下痢・嘔吐症状が治癒した後、少なくとも3日後からが望ましいです。
西尾治:施設管理者のためのノロウイルス対策Q&Aブック,幸書房,2013,p.7.

この日数である理由は、仮にウイルスがまだ体内に残っていたとしても、おう吐や下痢の症状がなければ他者に感染しにくいからです。

そのため、最後のおう吐・下痢の日時をチェックしておくと良いでしょう。

ノロウイルス,出勤  しばらくは周囲にうつる可能性はある

治ってからも最長 1 か月間はウイルスを排出するが感染力は強くない。一般職において長期の病欠は現実的でないため、出勤可。

2-2.食品取扱者の場合

仕事で食品を取り扱う方は、職場復帰に注意が必要です。具体的には、

・製造や加工などの食品メーカー
・レストランや小売店などの飲食業

…などの職業の方が該当します。また保育所や介護施設などに勤務している方でも、食品を扱うことがある場合は同様に考えてください。

これらの職種では、感染症が業務に与える影響が大きいため、ノロウイルス検査を行い「陰性(感染なし)」という結果がでるまで食品を扱う業務に従事できないとされています

2-3.職場に戻る前に知っておきたいこと

ここからは、ノロウイルスで仕事を休むときのために、

  • 病院での簡易検査
  • 診断書が必要な場合
  • 有給の適用について

…をご紹介します。

◆ 病院での検査とは

ノロウイルスの疑いで病院に行ったとしても、健康な大人であれば基本的に検査は行われません。これは原因ウイルスが特定できたとしても治療に差がないため、検査の必要性が重視されていないからです。

ただし希望すれば、キットを用いた簡易検査を受けることができます。

ノロウイルスの検査とは

【方法】
…検便または、綿棒を直腸に入れて採便

【時間】
…約 15~20 分で結果が判明

【費用】
…健康保険が適用されず、検査費のみ全額負担
…実費で 3,000~5,000 円(診察費等は別)
※ 3 歳未満と 65 歳以上のみ健康保険が適用される

ノロウイルスの検査についてさらに詳しく知りたい方は、「ノロウイルスの検査|保険適用で受けられるケースと診断の流れ」の記事もぜひ、ご覧ください。

◆ 診断書の有無について

ノロウイルスは人から人にうつる感染症なので、会社によっては感染や治癒を証明する書類の提出を求められることがあります

診断書の種類

罹患証明書(りかんしょうめいしょ)
…療養が必須であることの証明であり、検査を行わなくても『感染性胃腸炎』と記される

治癒証明書(ちゆしょうめいしょ)
…感染していない、またはすでに胃腸炎の症状が治まったとの旨が記される

※どちらも別途費用が必要であり、2,000円~5,000 円が相場

どちらも希望すれば受診した病院で発行することができます。後日発行が可能な場合もあるので、必要時には病院に問い合わせてください。

◆ 有給の適用について

給与面での休みの扱いも、それぞれの勤め先や雇用形態によって異なります。

  • 有給制度がある場合は、使って休むのが一般的
  • 食品を扱う業務の場合は、自身の意思にかかわらず勤め先の判断で自宅待機を命じられることもある

休暇の扱いや手当などについては、休む際に勤め先に確認しておくことをおすすめします。

3.職場復帰時のマナー

ノロウイルスが人から人にうつる可能性として、ウイルスが付いた物に触れた手で口を触る「接触感染」、吐物や便に含まれるウイルスを吸い込む「空気感染」が考えられます。

そのため職場に戻る際は周りにうつらないよう、次の点を意識して過ごしましょう。

  • 汚染の可能性がある物を持ち込まない
  • こまめな手洗い
  • 塩素系消毒液を用いる
  • トイレを清潔に使う
  • 少しでも吐き気があれば早退する

それぞれについて、具体的な方法をご説明します。

◆ 汚染のおそれがある物を持ち込まない

ノロウイルスは、吐物や便が渇いた後のチリやホコリからも感染します。そのため、汚染のおそれがあるものを社内に持ち込まないことが大切。

具体的には、

・おう吐や下痢が起きた日に着用していた服
・毎日使っているバッグや小物

…などです。

目に見えた汚れがないにしても、ウイルスが付着しているかもしれません。しばらくは公共の場での使用を避けたほうが良いでしょう。

◆ こまめな手洗い

ノロウイルスの感染経路の一つは手から手へのウイルスの移動です。

この感染を防ぐには石けんを用いて、流水による手洗いを徹底してください

正しい手洗い

① 表面の汚れを落とした後、石けんを泡立てる
② 手の平、甲、指の順番でよく洗う
③ 流水ですすいだ後、タオルで水分を拭き取る
※全部で 30 秒以上かけて丁寧に行うこと

また、タオルの共用は避けるべきです。自分専用のハンカチか、ペーパータオルを用いるのが良いでしょう。

◆ 塩素系漂白剤を用いる

トイレの鍵やドアノブ、電話機など、多くの人が触れる箇所からウイルスがうつる可能性があります。

ノロウイルスを除去し、感染拡大を防ぐにはキッチンハイター(花王)などの塩素系の漂白剤が効果的です。

① 塩素系漂白剤を薄めた消毒液を作る
② ペーパータオルと対象物の両方にスプレーする
③ 入念に拭き取る

…このような手順で消毒を行ってください。

勤務中に頻繁に行うのは難しいとしても、合間の時間で自分が触れたものを清潔にするのが良いでしょう。

ノロウイルス,出勤  消毒用アルコールで代用するには

液を浸して頻繁に拭き取ると良い。ノロウイルスはアルコールに強い性質を持つが数を 10 分の 1 程度にまで減らす効果が期待できる。

◆ トイレを清潔に使う

二次感染が最も起こりやすい場所はトイレです。

感染者の症状が治った後も、最長で 1 か月ほどは便にウイルスが含まれるため、

・職場のトイレ掃除はできるかぎり自分で行う
・使用後は消毒液で、便座などを拭き取る

…といった対処をすると良いでしょう。

これにより、同僚の方々にうつる可能性を大きく減らすことができます。

◆ 少しでも吐き気があれば早退する

「職場に行ったら、また吐き気が戻ってきた…」
「朝は元気だったのに…」

…ノロウイルスからの復帰後は、こういったことがよくあります。

病み上がりで我慢しながら業務をこなすことが難しい場合、

・まずはその時点で休憩をとる
・それでも回復しなければ早退する

…このように対処し、もうしばらくの期間を療養に充ててください。

4.まとめ

ノロウイルスから回復した後の出勤について、まとめました。

仕事に復帰する際には
  • おう吐や下痢がなくなってから最低でも 2 日間以上休む
  • 食品を扱う職業の場合は検査が必要 
  • 検査・診断書・有給については勤め先に確認する

職場復帰した後の注意点
  • 汚染の可能性がある物を持ち込まない
  • こまめな手洗い
  • 塩素系消毒液を用いる
  • トイレを清潔に使う
  • 少しでも吐き気があれば早退する

ただじっとして休んでいたようでも、体力の消耗は激しいもの。

久々の出勤は疲れやすく、本来の調子を取り戻すまでには時間がかかることもあります。しばらくは無理をせず、体を労るのが良いでしょう。

◆ 参考文献