インフルエンザの予防接種に関して、効果や受ける時期など分からないことが多いですよね。

特に妊娠中や授乳中の方、ご高齢の方にとっては、

「本当に効果はあるの?」
「予防接種を受けて体に悪影響はないの?」

…といった疑問点がたくさんあると思います。

ここでは、インフルエンザの予防接種について、

  • 予防接種の時期や回数、費用
  • 接種を迷う 6 つのケース
  • 接種後の注意点

…をご紹介します。ご自身やお子さんの予防接種を検討する際に、ぜひ参考にしてください。

1.インフルエンザの予防接種とは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となる感染症です。

予防接種は、

  • インフルエンザの発症を防ぐ
  • 発症した際の重症化を防ぐ

…といった 2 つの効果があります。

ここでは、予防接種の基本的な情報をご説明します。

1-1.予防接種とは

予防接種とは、ウイルスに対抗する「ワクチン」を体内に注射することです。

インフルエンザの予防接種は、以下の流れで体に作用します。

予防接種が体に作用する流れ
  1.  インフルエンザワクチンを接種する
  2.  体内でウイルスに対する抗体が作られる
  3.  同じウイルスが体内に侵入した際、抗体がウイルスを排除する

このように、予防接種を受けることでウイルスへの抵抗力が高まり、感染症予防になります。

インフルエンザの予防接種は、流行する型(A 型・B 型)を予測して毎年その年のワクチンが作られます

インフルエンザ A 型とB型については、
インフルエンザA型の回復を早める7つの症状別ケアと療養のポイント
はじめてのインフルエンザB型ガイド|特徴的な2大症状と対処法
の記事で、詳しくご紹介しています。

1-2.予防接種の効果

予防接種には、インフルエンザを予防する一定の効果があります。

過去のデータでは、

  • 成人 (64 歳未満) 70〜90 %
  • 高齢者(65 歳以上) 30〜40 %
  • 子ども(6 歳未満)   20〜30 %

…の発症予防効果が報告されています。

厚生労働省もインフルエンザの予防接種の効果について、以下のように回答しています。

インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありませんが、ある程度の発病を阻止する効果があり、また、たとえかかっても症状が重くなることを阻止する効果があります。
ただし、この効果も 100 %ではないことに御留意ください。

次は、予防接種について詳しくご説明します。

2.予防接種を受ける前に知っておきたいこと

ここからは、実際に接種する際に必要となる、

  • 接種が推奨される人
  • 効果的な接種時期
  • 接種の回数と費用

…といった予防接種の基本情報をご説明します。

2-1.接種が推奨される人

インフルエンザの予防接種は、

  • 定期接種
  • 任意接種

…の 2 つの種類があります。

定期接種と任意接種

◆ 定期接種
…65 歳以上または、60~64 歳で特定の持病がある人が対象
…重症化リスクが高いため、接種が推奨されている
…市区町村が主体となって時期や場所を決めて実施する

◆ 任意接種
…60 歳未満の人が対象
…個人の希望により、各自で受ける

定期接種には含まれていませんが、

  • 妊娠中、授乳中の方
  • 小児
  • 持病のある方

…は免疫力が低く感染すると重症化しやすいため、予防接種を受けておくことをおすすめします。

2-2.効果的な接種時期、回数・費用

◆ 効果的な接種時期

インフルエンザは、11 月から 3 月の春先まで流行します。

ワクチンは効果が現れるまでに約 2 週間かかるため、遅くても 12 月上旬までに接種するのが良いでしょう

予防接種による効果の持続期間は、約 5 か月間です。

◆ 接種回数

接種回数は、年齢によって異なります。

予防接種の回数

・生後 6 か月~13 歳未満… 2 回
・13 歳以上… 1 回

※ 13 歳以上で慢性疾患があり、著しい免疫抑制状態であると考えられる人は医師の判断で2回接種となる場合がある。

13 歳未満は、1 回接種では十分な抗体が付きにくいため、2 回の接種が必要です。

2 回目の接種までの間隔は、1~4 週間空ける必要があります

◆ 接種費用

インフルエンザの予防接種にかかる費用は、「定期接種」と「任意接種」で異なります。

予防接種の費用

◆ 65 歳以上、60~64 歳で持病のある人(定期接種)
 「一部公費負担」

…負担額は各自治体による。

◆ 65 歳未満(任意接種)
 「自己負担」

…保険適用外のため病院により異なるが、平均して 3,000~5,000 円。

定期接種の詳しい負担額や実施期間などについては、お近くの保健所や医療機関に問い合わせてみてください。

2-3.主な副反応

予防接種後には、抗体ができること以外の反応や症状が現れることがあります。これを「副反応(副作用)」といいます。

予防接種後に現れる軽度な副反応には、以下があります。

軽度な副反応

◆ 部分的な症状 注射部位の赤み、腫れ、痛み
…接種を受けた人の 10~20 %に出るが、2~3 日で消失する。

全身症状 発熱、頭痛、寒気(悪寒)、倦怠感
…接種を受けた人の 5~10 %に出るが、2~3 日で消失する。 

また、非常に稀ではありますが、以下の重篤な副反応も報告されています。 

重篤な副反応

・ショック
・アナフィラキシー様症状
・ギランバレー症候群
・急性脳症、急性散存性脳脊髄炎
・けいれん
・肝機能障害
・ぜんそく発作
・血小板減少性紫斑病

ただし、これらは原因が不確かな症例も多いため、インフルエンザワクチンと重篤な副反応との因果関係は、必ずしも明らかではありません。

2-4.接種に注意が必要な人、接種できない人

持病をお持ちの方、または健康な方でも当日の体調次第では、

  • 接種に注意が必要
  • 接種が受けられない

…と判断される場合があります。それぞれについてご説明します。

ご自身やご家族が該当していないか、いま一度確認しましょう。

接種に注意が必要な人(医師と要相談)
  • 特定の基礎疾患がある人
  • 過去にけいれんを起こしたことがある人
  • 呼吸器疾患を患っている人
  • 過去に免疫不全の診断を受けた、または近親者に免疫不全の方がいる人
  • 過去に接種後 2 日以内に発熱または全身の発疹など、アレルギーを疑う症状が出た人
  • 鶏卵、鶏肉、チメロサール(水銀系保存剤)にアレルギーを起こすおそれがある人

接種を受けることができない人

  • 明らかな発熱がある人
  • 接種時点で重篤な病気を患っている人
  • 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人
  • その他、医師が不適当な状態と判断した場合

厚生労働省 HP「インフルエンザ Q&A」アステラス製薬株式会社 HP「インフルエンザ〈なるほど病気ガイド〉」より編集部作成)

3.接種を迷う 6 つのケース

インフルエンザの予防接種を受けてよいか、疑問に感じやすい 6 つのケースを取り上げます。

  1. 妊娠中・授乳中
  2. 他のワクチンとの同時接種
  3. 卵アレルギー
  4. 過去に副反応が出た
  5. 1 回接種後に副反応が出た
  6. 直前に運動した

それぞれケースについて接種の可否をご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

3-1.妊娠中・授乳中


妊娠中、授乳中 いずれも接種可能

インフルエンザワクチンは、病原性をなくした不活化ワクチンなので安全性が高く、妊娠中や授乳中の方でも接種することができます

※ ワクチンに含まれる「チメロサール」について
防腐剤として、インフルエンザワクチンにはチメロサールが含まれています。ただ、チメロサールは人体に有害なメチル水銀とは異なり、体内に蓄積されないため害はないといわれています

3-2.他のワクチンとの同時接種


他のワクチンと同時に接種可能

特に 1 歳までのお子さんは、接種しなければならないワクチンがたくさんあります。

次回の接種を待つ間に未接種の感染症にかかるおそれがあるため、近年は同時接種が推奨されています
※ 2 種類以上のワクチンを 1 回の通院で接種すること

日本小児科学会も、同時接種によるデメリットはないと提言しています。

同時接種による副反応について
複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはない。

ただし国内ではまだ推奨段階であり、医療機関によっては同時接種を実施していない病院もあるようです

事前にかかりつけ医や接種する小児科などに問い合わせておくと安心でしょう。

3-3.卵アレルギー


アレルギーの程度や健康状態により
接種要注意(医師と相談が必要)

インフルエンザワクチンは製造過程で鶏卵を使用するため、卵成分が含まれています。

近年のワクチンは精製度が高く含まれる卵成分も微量ですが、鶏卵や鶏肉アレルギーが重度の場合は、接種後にアレルギー症状が出る可能性があります

アレルギーの程度や接種時の健康状態などを慎重に考慮する必要があるため、医師と相談の上、注意して接種してください。

以前卵アレルギーだった方は、現在卵アレルギーの程度が軽減・消失していれば接種可能です。

インフルエンザ,予防接種  現在、ワクチンにゼラチンは入っていない

以前は安定剤としてワクチンに含まれていたが、ゼラチンによるアレルギー反応の事例が出たことから、現在国内で作られるワクチンには含まれていない。

3-4.過去に副反応が出た


副反応が発熱またはアレルギー症状であれば
接種要注意(医師と要相談)

過去、何らかの予防接種を受けたあと、

『接種後 2 日以内に、「発熱」または「アレルギーを疑う症状」が現れた』

…このようなことがあった方は、接種に注意が必要と規定されています。

​軽度の副反応であれば接種可能といわれていますが、念のため副反応について医師に伝えておくと安心です。

インフルエンザの予防接種で現れる副反応については、「2-3.主な副反応」で詳しくご説明しています。

3-5.1 回接種後に副反応が出た


副反応の程度による
医師に接種の可否を要相談

1 回目の接種後に現れた症状が、

『接種後 2 日以内に、「発熱」または「アレルギーを疑う症状」が現れた』

…このような場合は、接種に注意が必要と規定されています。

上記の症状に当てはまらない場合も、1 回目の接種後に「気になる症状や変化」が現れた場合は、医師に報告のうえ接種を相談しましょう。

インフルエンザの予防接種で現れる副反応については、「2-3.主な副反応」で詳しくご説明しています。

3-6.接種直前に運動した


接種する前の運動はOK

接種する前の運動について、規定はありません。

ただし、予防接種はあくまで健康な状態で受けるものですので、普段以上に疲労をまねく運動は注意した方が良いでしょう。

反対に接種した後の運動は、抗体を作りにくくするため控えるべきとされています。

4.接種当日に注意したい 4 つの行動

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  • インフルエンザ,予防接種

予防接種を受けた当日は、

  • 運動
  • 入浴
  • 注射部位への刺激
  • 飲酒

…といった行動に注意が必要です。十分な効果を得るための注意点ですが、結果として副反応のリスクを下げることにも繋がります。

◆ 運動

激しい運動は NG

接種した後に運動して体が疲れると、抗体ができにくくなるおそれがあります。接種後の運動の目安は以下の通りです。

運動の目安

◆ OK 日常での運動
…ウォーキング
…自転車に乗る

◆ NG 激しい運動
…体育の授業や運動系の部活動(スポーツ)
…ランニングや水泳など(心拍数が上がる)
…筋トレやストレッチなど(負荷が大きい)

日常レベル以上の運動は疲労をまねきます。接種当日は、控えるようにしましょう。

◆ 入浴

接種当日から OK ※ ただし接種後 1 時間以内の入浴は NG

体に負担をかけるため、長時間の入浴は控えましょう。また、接種後に発熱がある場合は入浴せずシャワーなどで済ませましょう

◆ 注射部位への刺激

強く揉んだりゴシゴシ洗わないようにする

インフルエンザの予防接種は皮膚の浅い部分に注射する「皮下注射」なので、強く揉むと皮下出血などを起こすおそれがあります。

注射部位をゴシゴシ洗うのも、腫れやかゆみなどの副反応を招きます。手に石けんやボディソープをつけて軽くなでる程度にしましょう

◆ 飲酒

大量の飲酒は NG

飲酒によって体調が悪くなると、抗体がうまく作れなくなるおそれがあります。

ただし「これくらいなら OK」という医学的根拠はないため、自己判断に委ねられます。

5.予防接種の最新情報(2017 年)

昨シーズンまではチメロサールを含まない「チメロサールフリー」のワクチンが作られていましたが、2016〜2017 シーズンは製造されないことが発表されました

ただ、チメロサールは人体に害を与えるものでなく、ワクチンに含まれる量もごくわずかです。

気になる場合は、接種する病院に相談してみてください。

6.まとめ

インフルエンザの予防接種について、年代別のポイントをまとめました。

◆ 乳幼児
・生後 6 か月以降から接種可能
・卵アレルギーの場合は、要相談
・他のワクチンとの同時接種が可能
◆ 小児
・卵アレルギーの有無と程度で要相談
・過去に副反応が出たことがあれば要相談
・13 歳未満は 2 回、13 歳以上は 1 回の接種
◆ 成人
・卵アレルギーの有無と程度で要相談
・過去に副反応が出たことがあれば要相談
・妊娠中・授乳中でも接種可能
◆ 60 歳以上
  • 治療中の病気によっては要相談
  • 卵アレルギーの有無と程度で要相談
  • 60~64 歳で持病がある、または 65 歳以上は一部公費負担で接種できる
  • 高齢者
  • 妊娠中、授乳中の方
  • 小児
  • 持病のある方

…に当てはまるのであれば、予防接種を受けておくことをおすすめします。

ご紹介したポイントを確認して、ご自身やご家族が接種可能かどうか検討してみてください。

◆ 参考文献