「インフルエンザ C 型って本当にあるの?」
「子どもに多いと聞くけど、大人も感染するの?」

…と、あまり聞いたことのない C 型に、多くの方が疑問を抱くはず。

ここでは、インフルエンザ C 型について、

  • 症状とかかりやすい人
  • 病院での診断と治療
  • 療養中に気を付けること

…といった情報を、ご紹介します。

毎年の流行を繰り返す A・B 型のインフルエンザとは特徴が異なりますので、ぜひ参考にしてください。

1.インフルエンザ C 型とは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となる感染症です。今回は、流行を繰り返すA型やB型に比べて聞き慣れない「インフルエンザ C型」について、ご紹介します。

1-1.インフルエンザの種類

インフルエンザは、ウイルスの種類によって 3 つの型に分けられます。C 型とは、その種類の一つです

インフルエンザの種類

・A 型
…11~2 月に流行する季節性インフルエンザ
…さらに 100 種類以上に細分化され、ウイルスの形が変わりやすい(変異)

・B 型
…2~3月に流行する季節性インフルエンザ
…さらに 2 種類に分かれるが、変異しにくい

・C 型
…1 年を通してかかる通年性インフルエンザ
…風邪と似た症状のため、流行が問題になることは少ない

ほかの2つに比べて C 型があまり知られていないのは、

  • 大流行を起こすことがない
  • 症状が軽く風邪と間違えやすい

…といった特徴があるためです。

C 型は 1 年を通して感染する可能性がありますが、特に 1~6 月に多いようです。

インフルエンザ,C型  インフルエンザと風邪の違い

病気の種類でいえば風邪もインフルエンザと同じウイルスによる感染症。風邪の原因となるウイルスは 200 種類以上ある。

ただ A・B 型ウイルスは症状が重く流行しやすいため、特別な検査や治療薬が用意されている。C 型ウイルスはインフルエンザの一種だが軽症であるため、一般的な風邪と同等に扱われることが多い。

インフルエンザA型は「インフルエンザA型の回復を早める7つの症状別ケアと療養のポイント」、インフルエンザB型は「はじめてのインフルエンザB型ガイド|特徴的な2大症状と対処法」の記事で詳しくご紹介しています。

1-2.C 型の 3 大症状

インフルエンザ C 型で現れる主な症状は 3 つあります。

◆ 高熱

多くの場合、38 ℃以上の高熱が出ます。A・B 型は解熱までに 3~5 日かかりますが、C 型はほとんどの場合、発熱してから 2 日以内に熱が下がることが分かっています。

◆ 咳

はじめは乾いた咳ですが、経過と共に痰がからむようになります。この傾向は、A・B型にもみられるものです。

◆ 鼻水

C 型では、鼻水が継続して出ます。最初は透明でさらさらしたものですが、次第に黄色で粘り気のあるものになります。

これらの症状は、感染者の約 6 割にすべての症状が現れるという報告も。また大人が感染した場合は、喉の痛みが出ることがあります。

1-3.かかりやすい年齢

インフルエンザ C 型にかかるのは、主に 6 歳以下の子どもで、特に 1 歳と 4 歳に多いことが分かっています。

ただし、大人がかかる可能性もゼロではありません。子どもの頃に感染しなかった方は、大人になって初めてかかることがあります

インフルエンザ,C型  2 歳以下は重症化しやすいので注意を

2 歳以下では重症化して、入院するケースがある。特に気管支炎や肺炎を合併する場合に多いので「痰が絡んだ湿った咳が出る」「発熱が続く」といったときは受診すること。

また C 型は一度感染すると体に免疫ができるため、2 回目以降はほとんど感染しません。

これに対して A・B 型や風邪に何度もかかるのは、それらのウイルスが、

  • 1 つのウイルスがさらに細分化される
  • ウイルスが変異する(形を変える)ため、過去の免疫が通用しない

…といった特徴をもつためです。C 型ウイルスは細分化がなく、変異も確認されていません

2.C 型の診断と治療

ここからは、病院で行う C 型の検査と治療について、ご紹介します。

2-1.病院での検査と診断

インフルエンザ C 型は、通常インフルエンザで行われる「迅速診断キット」での検査では判明しません。迅速診断キットで判別できるのは、A・B 型のみです。

そのため、医師による診断結果は、

  • インフルエンザ検査で陰性である
  • 3 大症状がある
  • かかりやすい年齢である

…といったことから、風邪と同様の「急性上気道炎」となる場合が多いです

インフルエンザ,C型  検査キットの「C」はC型の感染を示すものではない

製造メーカーによっては、検査キットにA型感染を示す「A」、B型感染を示す「B」のほかに「C」というマーカーがある。一見、C型感染と間違えやすいが、「C」は検査の有用性を示すマーカー。「C」に出た反応をC型感染と誤る例もあるため、検査時に見えても勘違いしないこと。

2-2.治療と薬

通常、インフルエンザA型やB型の治療には、タミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬が処方されます。

C 型の場合、これらの抗インフルエンザ薬は効きません。C 型の治療は、鼻水や咳、発熱など症状を抑える対症療法が基本です。

C 型で処方される薬

・咳を鎮め、痰を出しやすくする薬

・鼻水、鼻づまりを抑える薬

・熱を下げる薬

・総合風邪薬

ただしC 型の症状は、体内のウイルスに対抗するのに必要な反応であるため、過剰に抑える必要はありません。こうした薬は、あくまで症状による苦痛を軽減するものです。

3.自宅療養のポイント

C 型インフルエンザは、ウイルスそのものに効く薬がありません。症状を治すのは、ウイルスに対抗する体の免疫力です

次の方法で、免疫力を維持しましょう。

免疫力を維持して早く治す方法

◆ 栄養補給
…果物に含まれるビタミン C は体の回復を助ける
…食欲がなくても水分は継続的に摂る

◆ 安静と睡眠
…安静にして体力の消耗を防ぐ
…睡眠時間は最低 7 時間を目安に

◆ 体温の維持
…冷えやすいお腹や下半身の重ね着
…飲み物は常温またはホットにする

インフルエンザは、学校保健法で出席停止期間が定められています。ただし C 型は診断がつかないことが多いため、療養期間は医師の指示に従うのが良いでしょう

A・B 型は回復までに 7~10 日かかりますが、C型はそれより早く治りやすいです。

4.C 型の予防

C 型に限らず、インフルエンザの感染経路は、

  • 飛沫感染…咳やくしゃみに含まれたウイルスを吸い込む
  • 接触感染…手や食事を介してウイルスが体内に入る
  • 空気感染…空気中に漂うウイルスを吸い込む

…の 3 つです。

感染しないためには、これらの経路を意識して予防行動をとることが大切です。

C型の感染予防

・マスクの着用
…隙間ができないよう密着させる
…特に人混みに出るときは必ず着用する

・手洗い・うがい
…手洗いは石けんを使って15秒以上
…食事前や帰宅時など定期的にガラガラうがいを

・乾燥を防ぐ
…室内は湿度 50 %程度を保つ
…マスクは鼻や口の保湿に効果的

インフルエンザの予防接種は、A 型と B 型にしか対応していません。C 型はワクチンで予防できないため、ご紹介した予防行動を徹底することが、とても大切です。

5.まとめ

インフルエンザ C 型について、まとめました。

・3 大症状
…38 ℃以上の発熱、咳、鼻水

・かかりやすい人
…主に 6 歳以下の子ども

・特徴
…発熱は 2 日以内に治まることが多い
…同じ C 型に二度かかることはほとんどない

・診断と治療
…インフルエンザ検査では分からない
…「急性上気道炎」と診断されることが多い
…抗インフルエンザ薬は効かない

知らない病気に対しては不安が大きくなるもの。もしC型を疑う症状があったときには、ここでご紹介した情報を活かして、正しく対処しましょう。

◆ 参考文献

  • 泉 孝英,長井苑子編:医療者のためのインフルエンザの知識,医学書院,2005.
  • 松嵜葉子:C型インフルエンザの流行の現状と臨床的特徴,小児感染免疫,日本小児感染症学会,20(3),2008.
  • 厚生労働省HP「インフルエンザQ&A」