インフルエンザの可能性があるけれど、

「忙しくて病院に行く暇がない」
「診察代がもったいない」

…など病院に行かなくても治るのなら、行きたくないと思っている方。

確かに、インフルエンザは病院に行って薬を飲まないと治らないものではありません。ただ、症状の程度や持病などによっては、受診すべきケースもあります。

ここでは、

  • インフルエンザの自然治癒にかかる期間
  • 病院に行かず療養する際の注意点
  • 病院に行った方が良いケース

…について、ご紹介します。

誤った方法で自宅療養すると、かえって症状を悪化させてしまうことも。ご紹介する療養のポイントを参考に、正しい知識をもって早く治してください。

1.インフルエンザの症状とセルフチェック

インフルエンザはインフルエンザウイルスが原因となる感染症です。

体内に入ったウイルスが増殖するとさまざまな症状が現れ、減少することで快方に向かいます。

38 ℃以上の高熱が出ることが多く、起き上がるのもつらい状態になります。

インフルエンザで現れる症状

・全身症状
…発熱、寒気、倦怠感、関節痛・筋肉痛、頭痛

・呼吸器症状
…喉の痛み、鼻水、咳

・消化器症状
…腹痛・下痢、吐き気・嘔吐

特徴的なのは、これらの症状が突然現れ、体調が急速に悪くなることです。

症状から判断しづらい場合は、以下の自己診断リストでチェックしてみてください。

インフルエンザのセルフチェック

□ 急激に発症した

強い全身症状がある

高熱がある

地域で流行している

当てはまる項目が多いほど、インフルエンザの可能性が高いといえます。

2.インフルエンザを治すには

インフルエンザは、他者にうつらない量までウイルスが減ると『治った』と判断できます。

このウイルスを減らすことができるのは、体の免疫機能のほかにありません。

インフルエンザ,自然治癒  抗インフルエンザ薬は症状の深刻化を防ぐもの

インフルエンザと診断されるとタミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬が処方される。これはウイルスの増殖を抑える薬。体の免疫のように、すでに増殖しているウイルスを倒す力はない。

そのためインフルエンザは、健康な大人であれば病院に行かなくても自然に治癒する病気といえます

2-1.自然治癒の経過

病院に行かずに自宅療養した場合、治るまでにかかる期間は 7~10 日程度です。

  • 『発熱から解熱』… 3~5 日間
  • 『解熱から回復まで』… 3~5 日間

…といった経過をたどります。

治療せずに療養すると、熱が下がった後に咳や鼻水が長引くケースが多いことが分かっています

インフルエンザ,自然治癒  仕事はいつまで休むのが正解?

子どもの出席停止期間である「発症後 5 日かつ解熱後 2 日が経過するまで」に準じているケースが多い。
ただ診断書の提出が必要な場合もあるため、事前に勤務先に確認すること。休暇中の給与や手当についても会社ごとで対応が異なる。

インフルエンザ時の学校や会社への対応は後日、記事を公開予定です。

2-2.病院に行くメリット

インフルエンザは人にうつりやすく重症化しやすいため、どうしても受診できない状況でない限りは、病院で検査を受け医師の指示のもとで療養した方が良いでしょう。

ほかにも病院に行くことは、

  • 検査でインフルエンザかどうか分かる
  • 抗インフルエンザ薬を飲めば早期治癒が期待できる
  • 症状を和らげる薬を処方してもらえる
  • 重症化や合併症のリスクを減らすことができる
  • 希望すれば診断書がもらえる(会社や学校に報告する必要がある場合)

…といった利点があります。

重症化リスクの高い方については、「4.病院に行った方が良いケース」で詳しくご紹介しています。

2-3.病院で治療した場合の経過

病院でインフルエンザと診断されると、タミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬が処方されます。

治るまでの経過は、

  • 『発熱から解熱』… 1~2 日間
  • 『解熱から回復まで』… 3~5 日間

…となり、薬を服用することで解熱を 1~2 日、早める効果があります

抗インフルエンザ薬は発症から 2 日以内に服用すると効果が高いとされています。2 日以上経ってから受診すると処方されない場合もあるため、早めに受診してください。

特に検査は発症後 12 時間以降に受けると正しい結果が出やすいことが分かっています。症状が出て半日が過ぎていれば、早めに受診してください

※ 抗インフルエンザ薬の処方期限を過ぎてしまったら?
もし発症後 2 日を過ぎていても、場合によっては強く現れている症状を和らげる薬が処方されます。つらい症状が少しでも緩和されれば、体力を保つことができます。
免疫力を高めるには体力も必要なので、症状による苦痛を和らげ体力を保つことは療養に役立ちます。

3.自宅でできるセルフケア

自然治癒には、何より免疫力を高めることが大切です。

そのためには、

  • 安静
  • 睡眠
  • 水分補給・栄養摂取

…の 3 つが基本となります。ここからは、経過別に療養の注意点を紹介していきます。

3-1.発熱期間の注意点

発熱時のセルフケアは、熱が上がりきるまでは温める、上がりきったら冷やすことです。

① 体を温める

熱を下げるためには、まず熱を上げきる必要があります。

上がりきったサインが、暑さを感じ始めたり汗が出始めることです。それまでは、とにかく体を温めてください。

体を温める方法
  • 首やお腹にブランケットを巻く
  • 肌着や毛布を増やす
  • 部屋を暖める
  • 湿度を 50 %以上に保つ

熱を上げきるには、正しい水分補給も大切です。体を冷やさないために常温またはホットの飲み物を用意してください。

② 暑さを感じたら冷やす

熱が上がりきって暑さを感じたり汗が出始めたりしたら、太い血管のある、

  • 脇の下

…を氷枕や冷却シートを使って冷やしてください。また首から上は熱を持ちやすいので、おでこや頭の後ろを一緒に冷やすと心地よいでしょう。

汗をかくと水分とミネラルを失うため、経口補水液やスポーツドリンクをこまめに摂取してください。

インフルエンザ,自然治癒  市販薬は安易に使わないこと

インルエンザでは、解熱剤や風邪薬に含まれる一部の解熱成分は、合併症を起こしている場合にかえって症状を悪化させるおそれがある。市販薬は使わずに解熱を促すのが良い。
※ インフルエンザと解熱剤については後日、記事を公開予定。

3-2.解熱後の注意点

インフルエンザは、『解熱=治癒』ではありません。解熱後も数日間はまだ体内にウイルスが残っています。

ここで療養を中断すると症状が悪化して回復が遅れることも。きちんと治すためのポイントをご紹介します。

① 栄養価の高い食事を摂る

発熱によってかなりの体力を消耗しています。この段階で重要なのは食事です。

体を回復させるのに役立つ、

  • 魚や肉、卵などのたんぱく質
  • 納豆やオクラ、山芋などのネバネバ食材
  • 菓子やフルーツに含まれる糖分

…といった食材を摂りましょう。

以下のおすすめメニューを参考にしてみてください。

体を回復させるおすすめメニュー

鍋料理、卵雑炊、とろろや納豆のそば、プリン

② すぐには外出しない

他者にうつす可能性があるため、「発症後 5 日かつ解熱後 2 日」が経過するまでは、外出は控えましょう

この期間を過ぎれば、人に感染しない程度にまで体内のウイルス量が減るため『治った』と判断できます。

ただしインフルエンザは一度体温が下がっても、しばらく経ってから発熱を繰り返すことがあります。その際はもう一度、解熱後 2 日を過ぎるまで自宅療養してください。

インフルエンザ,自然治癒  どうしても外出する場合は必ずマスクを

買い物などでやむを得ず外出する場合は、ウイルスの飛散を防ぐためにマスクを着用すること。隙間があるとそこからウイルスが漏れ出てしまうため、顔に密着するように着けるのがポイント。

4.病院に行った方が良いケース

ここまで紹介してきた自然治癒は、体力があって健康な大人に向けた情報です。健康面で何らかのリスクを抱えている方は、すぐに受診する必要があります。

また症状が長引いている場合も、受診したほうが良いでしょう。

◆ 重症化リスクが高い人

以下に当てはまる方は、肺炎などの重症化や入院のリスクが高いとされています。

重症化リスクが高い人

・65 歳以上の高齢者
・妊娠 28 週以降の妊婦
・乳幼児 
・気管支ぜんそくや慢性気管支炎など肺に持病がある人
・心不全など心臓に持病がある人
・慢性腎不全や血液透析患者など腎臓に持病がある人
・糖尿病などの代謝系の持病がある人
・免疫不全状態にある人

インフルエンザが疑われた際は受診し、治療を受けるようにしてください。

◆ 症状が良くならない人

自宅療養中、以下のような状態の方は受診しましょう。重症化していたり合併症を起こしていたりする可能性があります。

受診したほうが良いケース

① 発熱から 4 日以上経っても熱が下がらない
② 発熱以外の症状が悪化、または長引いている

これらに当てはまらない場合も、『やっぱり病院に行った方が良いかな』と感じている方は早めに受診してください。

インフルエンザの場合、検査や薬には時間的制約があります。しかし遅くなったとしても、今の状態を医師に診てもらうことで安心につながるでしょう。

5.まとめ

インフルエンザは発症から 7~10 日ほどで症状が落ち着き、自然に治癒します

ただし、

  • 発熱から 4 日以上経っても熱が下がらない
  • 発熱以外の症状が悪化している

…場合は、重症化している可能性があるので早めに受診してください。

今回は参考までに、治療せずに療養するケースについてご紹介しました。

ただしインフルエンザは症状が重くなりやすく感染力も強いため、よほどの理由がない限りは病院に行って治療を受けましょう。

そして早期回復のために、ゆっくり休んでください。

◆ 参考文献

  • 河合直樹編著:よくわかるインフルエンザのすべて,医薬ジャーナル社,2013.
  • 泉孝英,長井苑子編:医療者のためのインフルエンザの知識,医学書院,2005.
  • 厚生労働省 HP「インフルエンザQ&A」