数年前に大流行した「新型インフルエンザ」。未だにニュースなどでちらほら耳にしますが、

「今年も新型インフルエンザが流行するの?」
「新型インフルエンザって少し前のと同じ?」

…と、疑問に思っている方もいるでしょう。

ここでは、新型インフルエンザについて、

  • そもそも新型インフルエンザとは何か
  • 現在の流行状況
  • 新型インフルエンザの症状と予防策

…といったことを中心に、解説していきます。

『よく分からない・知らない』で済ませず、この機会に正しい知識を身に付けてください。

1.インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる感染症の一つで、ウイルスの種類によって A・B・C の 3 型に分けられます

毎年、流行するのは A 型と B 型で「季節性インフルエンザ」といわれます。

一方、C 型は 1 年を通して流行する「通年性インフルエンザ」とよばれます。ただ風邪程度の軽い症状のため、流行が問題になることはありません。

インフルエンザの種類

・A 型
…ウイルスが変異しやすい
…かかる人が最も多く、人以外に鳥や豚にも感染する

・B 型
…A 型に比べてウイルスが変異しにくい
…A 型の次にかかる人が多く、人のみに感染する

・C 型
…人のみに感染する
…多くの人は幼少期にかかり、免疫が一生持続する

A 型ウイルスは、さらに 100 以上に細分化され、そのなかで少しづつ形を変える(変異する)性質をもっています。A 型が流行しやすいのは、ウイルスの感染力が強いのに加え、こうした性質も要因の一つです。

2.新型インフルエンザとは

新型インフルエンザとは、新たに人から人へ感染するようになったインフルエンザウイルスのことです。それが大規模な流行を起こすと「新型インフルエンザ」に指定されます。

新型インフルエンザ  新型インフルエンザが脅威なワケ

季節性インフルエンザとはウイルスの構造が異なるため、だれも免疫を持っていない。そのため、短期間で流行が拡大しやすい。10~40 年の周期で発生するといわれている。

【過去の発生例】
・1918 年…世界で流行した「スペインかぜ」
・1957 年…アジアで流行した「アジアかぜ」
・1968 年…香港で流行した「香港かぜ」
※ 当時はインフルエンザという疾患の認識がされていなかったため、かぜという名称が使われていた

2‐1.新型インフルエンザが発生するしくみ

新型インフルエンザになるのは主に、A 型インフルエンザウイルスです。

その理由は、A 型ウイルスがもつ、

  • 鳥や豚にも感染する
  • ウイルスが変異しやすい性質をもつ

…といった 2 つの特徴があるためです。

A 型には、主に鳥に感染する「鳥インフルエンザ」、人に感染する「人インフルエンザ」があります。

新型インフルエンザが発生する主なルートは次の 2 つ。

新型インフルエンザの2つの発生ルート
  1. 鳥インフルエンザが鳥や人の体内で変異し、人から人へ感染するようになる。
  2. 豚の体内でウイルスが混ざり合い、人から人へ感染するようになる。

豚は、「人インフルエンザ」と「鳥インフルエンザ」の両方に感染する、唯一の動物です。

そのため、豚の体内で複数のウイルスが混ざり合い変異すると、「新型インフルエンザウイルス」になる可能性があります。

2-2.2009 年の新型インフルエンザについて

記憶に新しい 2009 年の新型インフルエンザ。一時は「豚インフルエンザ」ともいわれていました。というのも、元々は豚の体内で発生したインフルエンザだったからです。

それが人に感染し、人から人へ継続して感染するように変異したため、新型インフルエンザに指定されました。

2009 年の新型インフルエンザについて

◆ 種類
…豚由来の A 型ウイルス(H1N1pdm)

◆ 感染者の傾向
…19 歳以下が約 70 %
…高齢者の患者は少なかった

◆ 死亡者数
…日本:約 200 人、世界:約 28 万人

ただ現在は多くの人が免疫を持ったため、季節性インフルエンザに分類されています
※ 名称は「インフルエンザH1N1(エイチイチエヌイチ) 2009(ニセンキュウ)」。

2-3.今後、気を付けたい新型インフルエンザ

現在は、人から人に持続的に感染する新型インフルエンザは発生していません

しかし「鳥から鳥」への継続的な感染や、「鳥から人」への感染が報告されているウイルスが 3 つあり、新型インフルエンザになるおそれがあるとして問題になっています。

新型になる可能性があるウイルス

◆ H7N9 鳥インフルエンザ
…2013 年に中国で人への感染が報告された
…人から人への持続的な感染は確認されていない

◆ H5N1 鳥インフルエンザ
…1997 年に香港で人への感染が報告された
…2004 年から東南アジアを中心に感染した鳥が確認された
…「鳥から人」への症例はアジア、中東、アフリカで報告されている
…人から人への持続的な感染は確認されていない

◆ H5N6 鳥インフルエンザ
…2014 年に中国で感染した鳥が確認された
…2016 年以降、日本を含む5か国で感染した鳥が確認された(中国では人への感染例あり)
…人から人への持続的な感染は確認されていない

現段階ではどのウイルスも、

  • 人から人への持続的な感染
  • 日本国内での人への感染および発症

…といった例は確認されていないようです。

鳥インフルエンザについては、後日記事を公開予定です。公開された際は、ぜひご覧ください。


3.もし新型インフルエンザが発生したら

ここからは、国内で新型インフルエンザが流行したときに役立つ、症状の特徴や予防法についてご紹介します。

3-1.新型インフルエンザの症状

主な症状は季節性インフルエンザと変わりませんが、新型では症状が重く現れることが予想されます

新型インフルエンザの症状

◆ 全身症状
…発熱(38 ℃以上)、寒気、倦怠感、筋肉痛・関節痛、頭痛

◆ 呼吸器症状
…咳、喉の痛み、鼻水

◆ 消化器症状
…腹痛、下痢、吐き気、嘔吐

また、季節性インフルエンザは感染から発症までの潜伏期間(症状が出ていない状態)が 1~3 日とされています。

新型インフルエンザの場合は、これまでに例のない構造のウイルスであるため、潜伏期間は季節性の場合に必ずしも当てはまりません。

3-2.新型インフルエンザの検査と治療

新型インフルエンザの検査と治療は、

  • 検査
     
    …鼻や喉の粘液で調べる迅速診断キット
  • 治療
     
    …タミフルやイナビルなどの抗インフルエンザ薬を中心に処方

…といった方法で、季節性インフルエンザと変わりません。

これまでの症例から、新型インフルエンザに対しても抗インフルエンザ薬が有効であることが分かっています。ただ季節性に比べて重い症状が現れやすいため、時に複数の抗インフルエンザ薬を併用するケースもあります。

新型インフルエンザ  新型インフルエンザは検査で分かるの?

通常、使われる検査キットは新型インフルエンザを検出できないものもある。ただし新型インフルエンザが発生した際には、新型の検出が可能なキットが使われることになる。

3-3.新型インフルエンザの予防

ここからは、新型インフルエンザの予防について、

  • ワクチンでの予防
  • セルフケアでの予防

…の 2 つをご紹介します。

インフルエンザの予防については、「インフルエンザ予防9選|感染せずに冬を乗り切るための効果的な対策」でも詳しくご紹介しています。こちらもぜひ、参考にしてみてください。

◆ ワクチンでの予防

一般的に、予防接種で対応できるのは季節性インフルエンザです。新型インフルエンザの場合、季節性ウイルスとは遺伝子などが異なるため、ほとんど予防はできないとされています

そのため新型インフルエンザに対しては、発生後 6 か月以内に新型に対応する全国民分のワクチンが製造されることになっています。
※ 平成 30 年度中を目指し現在、体制を整備中

新型インフルエンザ  H5N1鳥インフルエンザワクチンは製造中

H5N1については日本を含む先進国で、鳥から人へ感染したウイルス株を基に、ワクチン(プレパンデミックワクチン)が開発されている。

◆ セルフケアでの予防

新型インフルエンザの感染予防では、

  • 感染経路を断つこと
  • ウイルスに負けない強い体を保つこと

…が大切です。
※ 感染経路:①飛沫感染(感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸う)、②接触感染(ウイルスの付いた物に触れた手を介してうつる)。季節性インフルエンザも同様。

新型インフルエンザの感染予防

◆ 感染経路を断つ
・マスクを着用する
・人混みを避ける
・こまめな石けん手洗い
・室内を湿度 50~60 %に保つ

◆ 強い体作り
・十分な睡眠をとる
・バランスのとれた食事を心がける
・適度な運動

また新型インフルエンザの流行時は、公共機関や医療機関が混乱したりマヒしたりするおそれがあります。

そのためご紹介した予防法に加えて、

  • 水や米などの「食料品」
  • トイレットペーパーや紙おむつなどの「日用品」
  • マスクや絆創膏などの「医療品」

…といった、備蓄品を用意しておくと安心です。こうした備蓄品は、あらゆる災害対策になります。ご家庭にない方は、この機会に揃えておくことをおすすめします。

4.まとめ

新型インフルエンザについて、基本的な知識と最新情報をまとめました。

新型インフルエンザとは

…新たに、人から人へ感染するようになったA型ウイルス


症状

…季節性インフルエンザと同様だが、重くなることが予想される


予防法

…発生時は新型に対応するワクチンが作られる
…季節性インフルエンザと同様にマスクや手洗い、体力維持が重要


発生状況

…現在、指定されている新型インフルエンザはない
…H7N9、H5N1、H5N6(いずれも鳥インフルエンザ)は、今後流行のおそれがある

新型インフルエンザは『打つ手がないもの』ではありません。ご紹介したように、予防法や治療法といった対策があります。

いざというときに慌てないよう、できる対策を日ごろから実施して、備えておくことが大切です。

◆ 参考文献