学校や会社、ご家庭で誰かがインフルエンザにかかると、「自分も感染したかも…」と不安になりますよね。

実は、インフルエンザに感染しても数日は、症状が現れません。感染してから症状が出るまでの期間を潜伏期間といいます。

ここでは、感染したかどうか判断する方法について、

  • 潜伏期間を判断する目安
  • 感染した可能性が高い 3 つのケース

…の 2 つのポイントを中心にご説明します。

インフルエンザは、「感染の可能性が高いのか、低いのか」ある程度、判断することができます。今後の体調を予測するために、ぜひお役立てください。

1.インフルエンザの潜伏期間

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因の感染症です。ウイルスが体内に入ってから症状が現れるまでに時間がかかります。

感染してから症状が出るまでの時間を「潜伏期間」といいます。インフルエンザにかかると、一般的に 3 つの経過をたどります。

インフルエンザの経過

① 感染
鼻や口からウイルスが侵入し、約 20 分で粘膜に達し感染する

② 発症
体内のウイルスの数が約 100 万個を超えると、頭痛や発熱などの症状が現れる

③ 治療
発症から 7〜10 日ほどで感染力が失くなり、症状が治まる

1-1.潜伏期間の日数と症状

まずは、インフルエンザの潜伏期間について、

  • 潜伏期間の日数
  • 潜伏期間中の症状

…の 2 つをご説明します。

◆ 潜伏期間の日数

インフルエンザの潜伏期間の長さは平均 1~3 日ですが、以下の要因にも影響を受けて個人差が生じます。

潜伏期間に影響を与える 2 つの要因

・予防接種
…予防接種を受けているとウイルスの増殖スピードが遅く、潜伏期間が長くなる場合がある。

・免疫力
…免疫力があるとウイルスの増殖を抑えようと働き、潜伏期間が長くなる場合がある。子どもや高齢者は弱く、成人は強い傾向がある。

また、2009 年に流行したインフルエンザ(当時、新型インフルエンザといわれた型)では、発症まで 7 日ほど要した例もありました。

◆ 潜伏期間の症状

ほとんどの場合、潜伏期間中に目立った症状は現れません。ただ、まれに寒気や倦怠感などを感じる場合もあります。

  風邪との違いは「初期症状」にあり

通常の風邪では、咳や喉の痛み、鼻水などが徐々にひどくなる。一方、インフルエンザの場合、発熱や寒気、咳や喉の痛みが急激に現れる。

インフルエンザと風邪の違いは、「インフルエンザと風邪|症状から迷わず見分ける簡単な2つのポイント」の記事で詳しくご説明しています。

1-2.潜伏期間中の感染力

インフルエンザでは、潜伏期間中も他者に感染するおそれがあります。発症後に比べて感染力は弱いですが、ゼロではないことに注意が必要です。

  感染力は体内のウイルス量で変化する

体内のウイルス量がある程度増えると、咳やくしゃみなどの飛沫によってウイルスが排出されるようになる。ウイルス量が増えるほど、排出されるウイルスも多くなるため他者にうつす可能性も高い。

特に、ウイルスが急激に増殖する「症状が出てから 3 日間は感染力が強いとされています。

※ どれくらいで感染力はなくなるの?
「発症から 5 日」かつ「解熱から 2 日(幼児は 3 日)」が経過すれば、他者へ感染しない程度にウイルス量が減少したと考えられます。

2.潜伏期間を正しく判断する方法

潜伏期間の判別が難しいのは、症状が突発的に現れることだけが理由ではありません。感染源が不特定多数であることも、その一つです。

例えば繁華街では、知らず知らずのうちにウイルスを吸い込んでいる可能性があります。

今回は、学校や会社、家庭でインフルエンザにかかった人が出た場合など、感染源がある程度、特定できるケースを想定して解説していきます

2-1.感染の可能性を予測する 2 つのポイント

感染の可能性を予測するうえでポイントとなるのが、

  • 感染源(と思われる人)の状況
  • 感染源と接触したときの行動

…の 2 つです。

◆ 感染源(と思われる人)の状況

インフルエンザに感染した人(感染源)が、他者にうつす可能性が高いのは、

  • 成人  発症から1〜4 日
  • 子ども 発症から1〜7 日

…といわれています。

この段階では、以下のような症状が現れている状態です。

感染力が強いときに現れる症状

・強い全身症状
…発熱、寒気、倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛、食欲不振

・呼吸器症状
…咳、喉の痛み、鼻水

さらに、

  • 子どもが発症した場合
  • インフルエンザ B 型の場合

…などでは、この症状に加えて腹痛や下痢、吐き気や嘔吐などが出ることもあります。

このような特徴の相手と接触した場合には、あなたにも感染のおそれがあります。

◆ 感染源と接触したときの行動

インフルエンザが他者に感染するのは、主に以下の 2 つの経路によります。

インフルエンザに感染する 2 つの経路

・ウイルスを吸い込む
…感染源がマスクを着用していなかった
…感染源がハンカチや手で押さえず咳やくしゃみをした

ウイルスが手を介して口から体内に入る
…感染源と同じ皿の料理を食べた
…感染源と箸やフォークなどを共用した
…感染源のハンカチを借りた

感染者がただそこにいるだけでは、他者にうつりません。感染者と接触しても、

  • マスクを着けて感染者の飛沫をブロックする
  • 食べ物を共有しない
  • ハンカチを共用しない
  • 人のスマホに触れない

…などの行動に注意することで、感染を防ぐことができます。

2-2.潜伏期間を過ぎたと判断する目安とよくある 3 つのケース

インフルエンザの一般的な潜伏期間は「 1~3 日」です。そのため、『感染源と(最後に)接触した翌日から無症状で3日が経過した』場合は、潜伏期間を過ぎた可能性が高いと考えて良いでしょう。

潜伏期間には個人差があるため、平均的な期間のうち最も長い 3 日間を基準にすると安心です。

ここからは、感染を疑う際によくあるケースを 3 つご紹介します。それぞれのケースについて、

  • 感染の可能性
  • 潜伏期間を過ぎたと判断する目安

…の 2 つの基準をもとに判断しましょう。

① クラスメイトの発症から発熱まで隣の席で過ごした

学校で隣の席のクラスメイトが月曜日から体調不良を訴えた。
水曜日に発熱のため欠席し、インフルエンザと判明。
金曜日現在、自分は症状が出ていない。

◻︎ CHECK 1  感染の可能性は?

クラスメイトは月曜日にはすでに発症していたと考えられる。クラスメイトが登校していた月~火曜日は発症から 3 日間で最も感染力が強い時期。

その間に近くで接しているため、感染しているおそれがある。

◻︎ CHECK 2  潜伏期間を過ぎたと判断できるのは?

クラスメイトと最後に接したのは水曜日。翌、木曜日から 3 日間は潜伏期間と考えられる。

土曜日まで無症状で経過すれば、潜伏期間を過ぎた可能性が高いと判断できる。

 
クラス
メイト
発症
1
日目
発症
2
日目
発症
3
日目
     
自分     最終
接触日
潜伏
期間
1日目
潜伏
期間
2日目
潜伏
期間
3日目

② 同室で過ごす子どもが急に発熱し、インフルエンザと診断された

同室で寝起きしている子どもが土曜日から発熱。
月曜日にインフルエンザと診断された。
親である自分は月曜日現在、症状が出ていない。

◻︎ CHECK 1  感染の可能性は?

土曜日に発症しているため、子どもは月曜日まで発症後 3 日間の期間であり感染力は強い。そのため、母親が感染するおそれがあると考えられる。

◻︎ CHECK 2  潜伏期間を過ぎたと判断できるのは?

翌週の土曜日(発症から 7 日)まで子どもは感染力をもつ。その翌日(日曜日)から 3 日間、無症状で経過すれば潜伏期間を過ぎた可能性が高いと判断できる。

  1 週目
 
子ども 発症
1日目
発症
2 日目
発症
3 日目
感染力をもつ
自分
 
         
 

 

  2 週目
 
子ども 

感染力をもつ

           
自分   潜伏期間
1
日目
潜伏期間
2
日目
潜伏期間
3
日目
     

③ 発症前の友人と数時間会った

土曜日に会った友人が寒気を訴えていた。
日曜日、発熱したと連絡があった。
月曜日に受診し、インフルエンザと診断を受けたことを知る。
月曜日現在、自分は症状が出ていない。

◻︎ CHECK 1  感染の可能性は?

友人の発症は日曜日である可能性が高い。そのため、土曜日は潜伏期間中であり感染力はさほど強くないと考えられる。

◻︎ CHECK 2  潜伏期間を過ぎたと判断できるのは?

仮に感染していたとして、土曜日の翌日(日曜日)から 3 日経過する火曜日まで無症状であれば潜伏期間を過ぎた可能性が高いと判断できる。

 
友人  潜伏期間 発症    
自分  最終
接触日
潜伏期間
1 日目
潜伏期間
2 日目
潜伏期間
3 日目

いかがでしたか?
これらのケースに当てはめて、ご自身の体調を予測してみてください。

次は、この潜伏期間中にとっておくべき行動・対策をご紹介します。

3.潜伏期間中にとるべき行動

潜伏期間中は症状が出ないことが多いですが、普段どおりに生活しては他者へ感染するおそれがあります。

またご自身にウイルスを退治する力があれば、発症せずに済む場合もあります。

感染したかもしれない場合は、

  • 自分の発症を防ぐ
  • 他の人への感染拡大を防ぐ

…の 2 つを意識した行動をとりましょう。

3-1.自身の発症を防ぐ

ウイルスと戦う力(=免疫力)を低下させないことで発症しないで済む可能性があります。以下の方法で、免疫力を維持しましょう。

免疫力を低下させない方法

① 免疫力を高める食べ物を摂る
…ビタミン類、ネバネバ食品、たまねぎやにんにくなど鼻にツンとくる野菜は、免疫力を高める働きがある。

② 睡眠をしっかりととる
…夜間( 22 ~ 4 時)に免疫機能に関わる物質が分泌される。早めの就寝を心がけると良い。

③ 体温を下げない
…体温が 1 ℃下がると免疫力が約 30 %低下する。お風呂はシャワーで済ませず湯船に浸かる、冷えやすい下半身は重ね着をするなどの工夫を。

免疫力を維持するのに働く食べ物については、「インフルエンザの回復に効く食べ物10選|症状別メニューとNG食材」の記事を参考にしてください。

3-2.他者への感染拡大を防ぐ

インフルエンザの主な感染源は咳やくしゃみなどの飛沫によるものです。飛沫をまき散らさないよう、マスクの着用は必須です。飛沫の付いた物を他者と共用するのもやめましょう。

他者への感染防止策

① マスクの着用
…マスクは顔のサイズに合ったものを。隙間ができないよう装着する。

② 食事や食器、タオルを共有しない
…食事は皿を分ける、洗面所や風呂場のタオルを共用しないなどの対策を。

次は、潜伏期間中の病院の検査に関してご紹介します。

4.潜伏期間中の検査

ここでは、潜伏期間中の病院に関して、

  • 検査を受けるタイミング
  • 潜伏期間中の予防接種

…の 2 つをご紹介します。

4-1.検査を受ける正しいタイミング

残念ながら、潜伏期間中に検査を受けても意味がありません

仮に感染していてもまだウイルス数が少ないため、「陰性(感染していない)」と出てしまうおそれがあります。

  インフルエンザの検査はウイルスの量で結果が分かれる

体内のウイルスの量が一定以上であれば「陽性」、それ以下であれば「陰性」と結果が出る。

感染の有無を正しく検査するためには、『発症(何らかの症状が出て)から「 12~24 時間」の間』に受けましょう。

特に、発症から「48 時間」が過ぎると抗インフルエンザ薬が効果が薄れるため、遅くとも 2 日以内に受診するようにしましょう。

4-2.潜伏期間中の予防接種


潜伏期間中でも、予防接種を受けることはできます。ただ、ワクチンの効果が出るまで 2 週間程度かかるため、すでに感染している場合は予防としては手遅れです。

それでも接種を受けることには、以下のメリットがあります。

潜伏期間中に予防接種を受けるメリット

① 感染しても重症化を防ぐことができる
…ワクチンは発症の可能性を減らす効果の他に、発症した際の重症化を防ぐ効果が期待されている。

② 同シーズンに違う型のインフルエンザに感染するのを防ぐことができる
…ワクチンには A型に対応する2種類、B型に対応する 2 種類、計 4 種類に対応している。

ただし、接種時に明らかな発熱がある場合は、受けることができません。

5.まとめ

まだ目立った症状がない段階で、感染を判断するポイントは以下の 2 つです。

感染を判断する 2 つのポイント

・感染源の「感染力の有無」と「接触時の行動」

・感染源と最後に接触した翌日から症状が出ずにで 3 日が経過したら、潜伏期間を過ぎた可能性が高い

もし感染した疑いがある場合は、ご自身の発症と周囲への感染拡大を防ぐために、それぞれの対策をとりましょう。

感染者が出たからといって、必ず他者にうつるわけではありません。早めの対策で、ご自身の重症化や周囲への感染拡大を防ぎましょう。

◆ 参考文献