「熱があるけど、これってインフルエンザ?」
「病院の検査って何をするの?」

冬の季節、突然の体調不良で真っ先に疑うのがインフルエンザです。しかし、本当に感染しているかは検査を受けない限り、明らかになりません。

インフルエンザ検査には最適なタイミングがあるため、病院に行くのが早くても遅くてもダメだということをご存知ですか?

この記事では、

  • インフルエンザの検査方法
  • 検査を受ける最適なタイミング

…をご紹介します。

ただでさえ体調が悪いなか、病院でよく知らない検査を受けるのは心身ともに疲れるものです。前もって検査内容や正しいタイミングを知って、少しでも楽に検査・診察を受けましょう。

1.インフルエンザについて

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となる感染症です。38 ℃以上の高熱や全身の痛みといった重い症状が現れます。

まずは、

  • 風邪との違い
  • インフルエンザを疑うポイント

…について、ご紹介します。

1-1.風邪とインフルエンザの違い

「風邪の重いものがインフルエンザ」というわけではありません。同じ感染症ではありますが、原因となるウイルスが異なります。

風邪と比較すると、発症時(体調の異変を最初に感じたとき)に差がでやすく、次のような違いがあります。

風邪とインフルエンザの特徴

◆ 風邪
・発熱はしても微熱程度
・鼻炎や喉の痛みなど局所的な症状が出やすい
・ひどい寒気や全身の痛みは起こりにくい
・症状が緩やかで、体調は我慢できる程度


◆ インフルエンザ
・突然、38 ℃以上の高熱が出る
・高熱に伴い、寒気や全身の痛みが出やすい
・喉の痛みや咳、頭痛や腹痛が出ることもある
・普通に過ごせないほど、体調が悪化しやすい

このように風邪は症状が緩やかに始まるのに対し、インフルエンザは突然発症するのが特徴です

しかも症状が重いため、日常生活もままならないほど具合が悪くなります。

1-2.インフルエンザを疑うとき

軽い風邪であれば、病院に行かなくても自己対処で治ることがあります。

しかしインフルエンザを自然に治そうとすると、病院の処方薬を服用した場合と比べて症状が長引きやすいです。

インフルエンザかも?と思う方は、次の自己診断リストを試してみてください。

自己診断リスト

□ 季節が秋から冬、または春先である
□ 周囲でインフルエンザが流行っている
□ 前触れなく38 ℃以上の高熱が出た
□ 頭痛が激しい
□ 全身の関節や筋肉に痛みがある
□ 今季は予防接種を受けていない
□ ただ座っているだけでもつらい

当てはまる項目が多いほど、インフルエンザの可能性が高いと考えてください。

その場合は、近くの内科または耳鼻咽喉科(子どもの場合は小児科)を受診して、検査を受けることをおすすめします。

2.検査を受ける前に知っておきたいこと

インフルエンザの疑いがあるとき、急いで病院に行くのが良いとは限りません。それは検査のタイミングによって、正しい結果が出ないことがあるからです。

ここからは、インフルエンザが疑われるときの、

  • 検査方法の種類
  • 検査の正確性
  • 病院に行く適切なタイミング

…について、ご紹介します。

2-1.インフルエンザ検査の種類

インフルエンザの検査には、複数の種類があります。ここでは、私たちが病院で受ける「迅速検査」と、「そのほかの検査」についてご紹介します。

◆ 迅速検査

一般的に「インフルエンザの検査」とは、迅速検査のことを指します。これは「簡易キット」とよばれる測定器を用いるもので、

・多くの医療機関で受けられる
・30 分以内に検査結果が出る
・A 型とB 型、どちらのウイルスか特定される
・健康保険が適用される

…といった特徴があります。

迅速検査とは

◆ 測定方法
…鼻や喉の奥を綿棒で拭い、採取した粘液で判定

◆ 検査結果
…陽性(感染あり)または、陰性(感染なし)
…陽性の場合は感染したウイルスの型(A / B)

◆ 検査費用
…3 割負担の場合「1,700 円」程度
※ 別途、診察代や薬代が掛かるため、病院の費用は総額で 3,000~5,000 円ほど必要

検査時の感覚には個人差がありますが、鼻の中に綿棒が入るため痛みを感じやすく、特に子どもは泣き出してしまいがち。

そのため、鼻ではなく喉の奥で粘液を採取する、または綿棒は使わずに鼻をかんだときの鼻水で検査する場合もあります。
※ 不快感を軽減するために、スプレータイプの麻酔薬を用いることもある。

インフルエンザ,検査 「簡易キット」は市販されていない

薬局やドラッグストアには置いていないので、検査をする場合は必ず病院に行くこと。
※ 医薬品であるため、品質維持や有効性の観点から市場で販売することが規制されている。

◆ そのほかの検査

ほかにもインフルエンザを判定する方法として、

・分離検査(ウイルスの細胞培養を行う)
…ウイルスの詳しい性質を調べることができる

・PCR 検査(遺伝子解析を行う)
…分離検査よりも迅速で、精度が高い

・血清抗体検査(ウイルスに対する抗体を測定)
…2 回の血液採取が必要となる

…があります。ただし、こういった精密検査を受けられるのは一部の医療機関のみです。また、結果が出るまでに数日から数週間ほどかかるため、外来では一般的に使われません。
※ ワクチンを製造する際の調査や、流行中のウイルス特定のために行われることがある。

2-2.迅速検査の信頼性

迅速検査は受けるタイミングが早すぎると、正しい結果が出にくい傾向があります

発熱から 6 時間以内では一般的に簡易キットの感度は 70 %くらいまで落ちるといわれています。発症から 24 時間を過ぎた症例では、その感度は恐らく 95 %を超えていると思われます。
河合直樹編著:よくわかるインフルエンザのすべて,医薬ジャーナル社,2013.p.26.

発症からの時間によって正確性に差が出るのは、迅速検査ではウイルスの数量によって、感染しているかを判別するからです。そのため、発症直後は体内でのウイルス量が少なく、偽陰性となることがあります。

正確な結果を出すためには、発症から 12 時間経ってからがベスト

インフルエンザ,検査  偽陰性とは、正しくない検査結果のこと

インフルエンザにもかかわらず感染が認められないこともある。実際に「陰性(感染なし)」の結果が出た患者のうち、約 6 割が実は感染していた、との報告も。

2-3.検査を受けるベストタイミング

抗インフルエンザ薬の効果は、発症後 2 日以内の服用に限ります。そのため、インフルエンザの迅速検査は発症から 12~48 時間のうちに受けなくてはなりません

病院に行く具体的なタイミングは、以下を参考にしてください。

病院に行くタイミング

◆ 朝起きたら熱があった場合
…就寝前に倦怠感や体の痛みがあれば「午前中」
…前日の夜に何も症状がなければ「午後」

◆ 朝は元気だったが、昼間に発熱した場合
…周囲に感染者がいれば「夕方」
…周囲に感染者がいなく症状が悪化していれば「夕方遅め」
…周囲に感染者がいなく全身状態が悪くなければ「翌日の朝」

◆ 夕方以降から熱が上がり始めた場合
…その日は様子をみて「翌日の朝」

◆ 熱はないが、症状が出始めた場合
…症状が出始めてから「半日後」

※ 上記の内容は、実際にインフルエンザの診療にあたる医師の意見を参考にしています。 

人間の体温は夕方に最も上昇しやすいため、午後に熱が出ても夜に自然に下がれば、インフルエンザでない可能性もあります。この場合は、翌朝まで様子をみてから受診を検討してください。

3.偽陰性を疑うとき

偽陰性とは、インフルエンザに感染していても「陰性(感染なし)」と出ること。

インフルエンザの検査で陰性が出た後、自宅療養していても、

「風邪っていわれたのにすごくつらい…」
「家に帰った後、ますます熱が上がってきた…」

…といったケースでは、偽陰性の疑いが強いです。

翌日には再度病院に行き、検査を受けることをおすすめします。
※ ただし、2 回目以降の再検査では健康保険が適用されないことがあるため、事前に電話で医院に問い合わせること。

また検査の結果にかかわらず、症状が長引いていたり、悪化している場合においても再度、受診してください。

4.インフルエンザを早く治す過ごし方

インフルエンザ発症から回復までに要する期間は、7~10 日ほど。一般的に次のような経過をたどります。

  • 発症から解熱まで… 3~5 日間
  • 解熱から回復まで… 3~5 日間

この期間をどう過ごすかによって、治るまでの期間と体力の回復に差が生じます。療養中は、次の点を意識してください。

療養のポイント

・水分は喉の渇きに合わせて適量補給する
・食事は食欲に合わせ、消化に良いものを選ぶ
・保温と保冷で体温を管理する
・安静に過ごして、十分な睡眠を取る

5.まとめ

インフルエンザの迅速検査について、まとめました。

特徴

…多くの医療機関で受けられる
…30 分以内に検査結果が出る
…A 型と B 型、どちらのウイルスか特定される
…健康保険が適用される


タイミング

…発症から 12 時間後がベスト


注意点

…検査の精度は 100 %ではないため、感染していないと診断されても容態に注意しながら療養すること

検査や診察の結果、仮に風邪であったとしても、医師の診察を受けることには大きな意味があります。

インフルエンザが疑われる場合は、適切なタイミングで病院に行きましょう。

◆ 参考文献