お子さんがインフルエンザになると、

「元気そうだけど、本当に回復しているの?」
「こんな小さな子が薬を飲んでも大丈夫?」

…と、自分のこと以上に不安になりがちです。

ここでは、お子さんがインフルエンザになったときに役立つ内容を、

  • 「予防」編
  • 「受診」編
  • 「療養」編

…に分けて、12 個の Q&A で解説します。

感染予防から、かかったときの対処法まで幅広くご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.子どものインフルエンザ

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。ウイルスが低温かつ乾燥した環境を好むため、毎年 11~3 月に流行します。

インフルエンザは年齢や性別を問わず感染する可能性があります。今回は 10 代までのお子さんのインフルエンザについて、ご紹介します。

1-1.インフルエンザの主症状

インフルエンザは、風邪よりも重い症状が現れるのが特徴です。

インフルエンザで現れる 3 つの症状

◆ 全身症状
…高熱(38 ℃以上)、寒気、体のダルさ、関節痛・筋肉痛、頭痛

◆ 呼吸器症状
…鼻水、咳、喉の痛み

◆ 消化器症状
…腹痛、下痢、嘔吐、吐き気

特に子どもが発症した場合は、高熱と消化器症状が強く現れる傾向があります

1-2.子どもの症状

インフルエンザにかかっても、寒気や倦怠感といった症状は、幼い子どもが自ら訴えるのは困難です。そのため、親や同居する家族が、お子さんに現れている症状をよく観察することが大切です

次のような変化や行動に気を付けてください。

インフルエンザを疑う子どもの変化や行動

・発熱
…体温計で測る、おでこや首筋に手を当てるなどして確認を
…じっとしていられなければ耳で測る体温計を使用すると良い

・ぐずる、泣き止まない
…いつもなら機嫌が良くなる方法(おもちゃ、テレビ、絵本など)を試しても効かない

・明らかに元気がない
…思い当たる要因がないのに元気がない
…さっきまで走り回っていたのにじっとしている

・ご飯を食べない
…好きなお菓子や食べ物に興味を示さない
…いつもより食事量が明らかに少ない、極端に食が進んでいない

・お腹の調子が悪い
…下痢をしている

これらに加えて、新生児や乳児の場合は、

  • 抱いたときにいつもより熱い
  • いつもの時間にミルクを飲まない
  • あやしても泣き止まない

…などの変化に注意しましょう。

2.子どものインフルエンザ Q&A

ここからは、子どものインフルエンザについて知っておきたい知識を、

  • 「予防」編
  • 「受診」編
  • 「療養」編

…に分けて、ご紹介します。

2-1.「予防」編

Q1.予防接種は、生後何か月からできる?

A.生後 6 か月以降から接種できる

ただし子どもは、大人に比べてワクチンによる抗体ができにくく、効果も低いことが分かっています。特に 1 歳未満児へのワクチンの効果は証明されていません

予防接種を受けたほうが良いのは、

  • 保育園に通っている
  • 外出する機会が多い
  • 人に会う機会が多い

…といった場合。ほかのお子さんより感染するリスクが高いため、接種しておくと安心です。

インフルエンザワクチンは発症を防ぐ効果のほかに、かかった際の重症化を防ぐ効果もあります。体が弱く風邪をひきやすいお子さんも、接種を検討してみてください。

インフルエンザ,子ども  予防接種を受ける場所と費用

かかりつけの産婦人科や小児科で受けることができる。ほかに内科や耳鼻咽喉科でも可能。料金は全額自己負担で 3,000~5,000 円前後。

ただし自治体によっては年齢制限を設けて一部公費負担になる場合もあるため、地域の保健所や市区町村の役所で確認を。

予防接種を受けるときの注意点などについては、「インフルエンザの予防接種|6つの疑問と接種後の注意点を全解説」の記事を参考にしてみてください。

Q2.予防接種の回数と 2 回接種の間隔は?

A.13 歳未満は 2回、13 歳以上は 1 回 

13 歳未満の子どもはワクチンによる抗体がつきにくいため、2 回の接種が推奨されています。

ワクチンの効果は約 2 週間で出始めます。2 回目の接種は抗体が付いたころに受けるのが効果的なので、1 回目の接種から 2~4 週間後に受けると良いでしょう

Q3.予防接種できない赤ちゃんの予防法は?

A.家族がインフルエンザにかからないことが一番の予防

予防接種の対象月齢(生後 6 か月以降)に達していない場合、

  • 家族がインフルエンザにかからない
  • 自宅にウイルスを持ち込まない

…といったことが、お子さんへの感染予防になります。

ご家族の皆さんは、次のようなことに注意して過ごしてください。

家族ができる赤ちゃんの感染予防策
  • 事前に予防接種を受けておく
  • 帰宅時は石けんで 15 秒以上手洗いする
  • 外の空気に触れた衣類は着替える
  • 赤ちゃんに触れる前は手洗い・アルコール消毒をする

また、室内の加湿も感染予防に働きます。加湿器などを使って、湿度を 50~60 %に保つと良いでしょう

2-2.「受診」編

Q4.インフルエンザを疑うポイントは?

A.症状に加えて、周りの感染状況を確認する

インフルエンザは前触れなく体調が悪化するのが特徴です

お子さんに、

「触れると熱っぽい」
「急に元気がなくなった」
「食欲がない」

…といった変化があれば、インフルエンザを疑う症状といえます。

またこれらの症状に加えて、家族や保育園、学校といったお子さんの周囲にインフルエンザの感染者がいる(いた)場合は、感染の可能性が高いといえます

インフルエンザ,子ども  元気そうでも熱がある場合も

子どもは発熱の影響で興奮状態となるケースがある。一見、元気そうでも、ほかの症状や流行状況が当てはまれば、インフルエンザを疑い病院へ。

Q5.病院に行くベストなタイミングは?

A.発症から 12~48 時間のうちに受診する

インフルエンザが疑われる場合は、何らかの症状が出始めても、半日待ってから受診しましょう

受診のタイミングが早すぎると、検査の正確性や薬の効果が低く、再受診が必要になることがあります。

インフルエンザの検査と薬について

・検査
…仮に感染していても発症から 12 時間経っていないと、陰性(感染していない)の結果となりやすい。

・処方
…抗インフルエンザ薬は発症後 48 時間以内でないと効果が低い。

発症のタイミングが正確に判断できない場合は、受診する病院に問い合わせて、相談してみてください。

Q6.市販の解熱剤を使っても良い?

A.市販の解熱剤は使わず対処したほうが良い

受診前かどうかに関わらず、インフルエンザの発熱に市販の解熱剤を使うのは避けけたほうが良いです。なぜなら、市販薬にも含まれる一部の解熱成分が、インフルエンザの合併症に関係するおそれがあるためです。

そのため受診までは、解熱剤以外の方法で症状を緩和させましょう。

発熱のセルフケア

◆ 寒気がある、暑そうにしていないとき
…毛布を 1 枚増やす
…お腹や首元にブランケットを巻く

◆ 汗をかき始め、暑そうにしているとき
…肌着を 1 枚脱がせる
…首、脇の下、足の付け根を氷枕で冷やす

◆ こまめに着替えさせる
…肌着の濡れを確認する
…少しでも濡れていたら新しいものに着替えさせる

また発熱しているときは、汗で体の水分が大量に奪われます。いつも以上に水分を摂らせてあげてください。汗で失われるミネラルが含まれる経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。

インフルエンザと解熱剤については、「インフルエンザの解熱剤|間違いない選び方とOK&NGな市販薬一覧」で詳しくご紹介しています。

Q7.救急診療を受けたほうが良いのはどんなとき?

A.異常な高熱または、ほかの症状が強いとき

熱があっても、ほかに目立った症状がなく落ち着いていれば、少し様子を見て近くの病院を受診しましょう。

すぐに受診が必要なのは、

  • 41 ℃以上の発熱がある
  • 3 か月未満児で 38 ℃以上の発熱がある
  • ぐったりしている
  • 呼吸が苦しそう
  • 嘔吐した
  • ひきつけを起こした

…といった場合です。

判断に迷う場合は、以下の窓口で相談に応じています。

子どもの救急窓口

電話番号『#8000
…全国対応で、専門スタッフが子どもの救急相談に応じている。

Q8.すぐに病院に行けないときはどうしたら良いの?

A.土日を挟む場合、夜間・休日診療の病院を探す

インフルエンザが疑われる場合は、遅くても発症後 2 日以内に受診してください。なぜなら、タミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬は、発症後 48 時間以内に服用すると効果が高いためです。

服用することで、回復までの期間を 1~2 日早める効果が期待できます。

夜間や土日でも、診察している病院を探すことができます。検索サイトや相談窓口は「インフルエンザで病院に行く正しいタイミングと簡単な病院の探し方」でご紹介しています。ぜひ、活用してください。

2-3.「療養」編

Q9.療養中に気を付けることは?

A.十分な水分と栄養摂取、安静が基本

高熱が出やすいので、こまめに水分を摂らせて脱水を防ぎましょう

水分摂取のポイント

・赤ちゃんは母乳で OK
・唇の渇きを必要な水分量の目安にする
・ミネラル入りの経口補水液やスポーツドリンクが良い


栄養摂取のポイント

・食欲がなければ無理に食べさせなくて OK
・離乳食は 1 段階下げる
・おかゆやスープなど柔らかく消化しやすいもの


安静のポイント

・発熱時は入浴を控え、タオルで体を拭く
・汗で濡れたら肌着を替える

また、小さなお子さんは近くにだれもいないと不安になり、動き回ってしまうことがあるため、できるだけご家族が側に付いていてあげてください。

Q10.親が子どもに移されないためには?

A.2 つの「感染経路」を意識して予防する

インフルエンザは、接する距離が近い家族間で感染しやすいことが分かっています。特に、感染予防行動がとれない子どもから大人に感染するケースが多いようです。

2 つの感染経路

・咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む
・ウイルスの付いた物に触れた手で食事をする

ご家族は、こうした感染経路を意識して、

  • 看病する際はマスクを付ける
  • 看病前後は石けんで手洗いする
  • 食事や食器を共有しない

…といった予防策をとりましょう。

Q11.抗インフルエンザ薬に副作用の心配はない?

A.異常行動に関しては、薬が原因である明確な根拠は証明されていない

以前、問題になったタミフルやリレンザと、小児の異常行動の因果関係は現段階では証明されていません。

また、さまざまな調査により、異常行動は薬の服用や発熱の程度に関わらず一定の割合で現れることが分かっています

異常行動はインフルエンザを発症した子どものおよそ 10 人に 1 人、発症して 2 日間に起こりやすいことが分かっています。お子さんの療養中は一人にせず、必ず大人が付き添うようにしてください。

専門家の調査で挙げられている、異常言動や行動の例をご紹介します。

インフルエンザに伴う異常言動・行動

A.危険な行動
・事故につながる行動(飛び出し、飛び降り)
・他人へ危害を与える行動

B.感覚がおかしい
・存在しないものが見える
・目の前のものが見えない
・知っている人を間違える
・体の感覚が認識できない

C.発言がおかしい
・意味不明の言葉を言う
・不自然な話し方をする
・奇声をあげる
・歌を唄う

D.感情がおかしい
・理由もあくおびえる、泣く、怒る、笑う
・無反応、無表情

E.何でも口に入れる
河合直樹編著:よくわかるインフルエンザのすべて,医薬ジャーナル社,p.50,2013.

こうした変化は 1~2 日で軽快するとされていますが、不安に感じたらかかりつけ医や救急相談窓口に問い合わせてください。

Q12.登園や登校はいつから可能?

A.「発症後 5 日かつ解熱後 2 日(幼児は 3 日)」が経過してから

学校保健法により「出席停止期間」が定められています。お子さんの年齢によって多少異なるので、以下を確認しましょう。

出席停止期間

・幼稚園・保育園の場合
…発症後 5 日かつ解熱後 3 日が経過するまで

・小学生以上の場合
…発症後 5 日かつ解熱後 2 日が経過するまで

ただし主治医が経過を見て、他者への感染のおそれがないと判断すれば、上記期間前に登校・登園が可能になる場合もあります。

3.子どもの合併症を防ぐために

インフルエンザにかかると、免疫力が低下し体力も落ちるため、ほかの病気にもかかりやすくなります。
※ 子どもに多い合併症は中耳炎や気管支炎、脳症など。

こうした合併症を防ぐためには、インフルエンザを重症化させないことが何よりも大切

  • 病院で診察を受ける
  • 市販の解熱剤は使わない
  • 処方薬を正しく服用する

…といったことに気を付けましょう。

不安なことがあれば、受診した病院に問い合わせてみることをおすすめします。


4.まとめ

10 代までのお子さんのインフルエンザについて、予防、受診、療養別のポイントをまとめました。

予防のポイント
  • 「生後 6 か月未満の赤ちゃん」は家族が感染しないことが予防になる
  • 「生後 6 か月以降」は予防接種が可能

受診のポイント
  • 急な体調の変化に加え、周囲で流行していればインフルエンザを疑う
  • 受診は発症から 12~48 時間のうちに

療養のポイント
  • 市販の解熱剤は使わない
  • 十分な水分と栄養摂取、安静を心がける
  • 発症後 5 日かつ解熱後 2 日(幼児は 3 日)が経過するまで出席停止

子どもはインフルエンザに関わらず、体調が変わりやすいです。

急な変化を見逃さないよう、完治するまではお子さんの側に付いていてください。そうした安心感も、回復を助ける力になります。

◆ 参考文献