お子さんが初めてインフルエンザシーズンを迎えるお母さんは、

「どうすれば感染しないで済むの?」
「予防接種は打った方がいいの?」

…と、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、赤ちゃんのインフルエンザ対策について、

  • 予防接種を受けられる条件
  • 予防接種を受けた方が良いケース
  • 赤ちゃんが感染しないために家族ができること

…をご紹介します。大切なお子さんをインフルエンザから守るためにも、お母さんが正しい知識を身に付けましょう。

幼児期以降のお子さんの情報は、「インフルエンザから子どもを守るためにお母さんに見てほしいQ&A」をご覧ください。

1.赤ちゃんのインフルエンザ

インフルエンザは大人でも数日寝込むほどつらい症状が出ます。赤ちゃんのいるご家庭は、お子さんへの感染を防いであげたいものですよね。

まずは、インフルエンザの症状や基本的な予防法について、ご説明します。

1-1.インフルエンザとは

インフルエンザは毎年、11~2 月に流行する感染症の一つです。38 ℃以上の高熱や寒気、体の痛みなど、風邪よりも重い症状が出ます。

生まれたばかりの赤ちゃんでも、インフルエンザにかかる可能性はゼロではありません

赤ちゃんが感染した場合は、

  • 大人に比べて体力がない
  • 言葉を発せないため発症に気付きにくい

…といった理由から、症状が長引いたり重症化しやすいことに注意が必要です。

1-2.感染予防のきほん

インフルエンザにかかるのは、インフルエンザウイルスが鼻や口、目の粘膜などから体内に入ることが原因です。

感染源になるのは、

  • 感染者の咳やくしゃみから出るウイルスを吸い込む
  • ウイルスの付いた物に触れ、その手を介して体内にウイルスが入る

…といったことです。そのためこうした経路を意識することが、感染予防になります。

また予防接種も対策の一つ。ワクチンによって、ウイルスが侵入した際にそれを排除するのに働く『抗体』がつくられるため、発症や重症化予防に効果があります。

2.赤ちゃんの予防接種

赤ちゃんの予防接種は必ず受ける必要はなく、接種するかどうかはご家族の判断にゆだねられます

予防接種が受けられる赤ちゃんの月齢や接種回数は、次の通りです。

赤ちゃんの予防接種

【受けられる月齢】
…満 6 か月以降

【接種回数】
…2 回(間隔は 2~4 週間空ける)

【受けられる場所】
…小児科、産婦人科

【費用】
…2 回で 6,000~7,000 円程度(全額自己負担)

【接種時期】
…10 月頃に 1 回目を接種し、12 月初旬までに 2 回を済ませると良い

6 か月未満の赤ちゃんは、予防接種による安全性が確立されていないため接種できません。この頃まではお母さんからもらう免疫が働くため、インフルエンザにはかかりにくいと言われています。

2-1.ワクチンのメリット・デメリット

赤ちゃんが予防接種を受ける場合の、メリットとデメリットをご紹介します。お子さんの接種を検討する際の参考にしてください。

ワクチンのメリット
  • 感染を防ぐ(乳幼児の予防率は約 30 %)
  • 感染しても重症化を防ぐ
 
ワクチンのデメリット
  • 1 歳未満は抗体ができにくいため、予防効果が低い
  • ワクチン接種による副反応が起こる可能性がある

特に注意したい副反応は「アナフィラキシー症状」です。ワクチンにはごく微量の卵成分が含まれるため、卵アレルギーの赤ちゃんは接種に注意が必要です。

インフルエンザ,赤ちゃん  インフルエンザワクチンは安全性が高い

予防接種のワクチンは原因となるウイルスから作られる。ウイルスの病原性を弱くした生ワクチン、病原性をなくした不活化ワクチンの 2 種類がある。インフルエンザワクチンは後者。

2-2.受けた方が良いケース

赤ちゃんの予防接種はメリットとデメリットの両者があり、接種の判断が非常に難しいです。

以下のケースに当てはまる赤ちゃんは、「感染のリスクが高い」、「感染した際の重症化リスクが高い」と考えられるため、接種が推奨されています。

受けたほうが良いケース

・保育園に通っている
…集団感染が起こりやすいため

・人混みに出ることが多い
…不特定多数と近距離で接するため

・遠出する機会がある
…外出先で流行している可能性があるため

・持病がある
…重症化しやすいため

反対に、ほとんど自宅で過ごす赤ちゃんは接種の必要性はあまり高くないといえます。

2-3.ほかのワクチンとの同時接種と優先順位

次の接種を待つ間に感染してしまうおそれがあるため、近年はワクチンの同時接種が推奨されています

ワクチン接種の優先順位は、以下を参考にかかりつけ医と相談してください。

予防接種の優先順位

① 定期接種のワクチン
…ヒブ、小児肺炎球菌、四種混合、日本脳炎、BCG、MR、水ぼうそう、B 型肝炎※

② 接種時期が限られているワクチン ( )内は接種できる期間
…BCG(0~1歳)、B型肝炎※(0~1歳)、ロタウイルス(2か月~5か月半or2か月~7か月半)

③ 流行しているもの
…インフルエンザなど、その時期に流行している感染症を把握する
…「国立感染症研究所HP」で国内の感染症流行情報を確認すると良い


※ 2016 年 4 月以降に生まれた児が対象

また同時接種による副反応についても、日本小児科学会が「同時接種によって、それぞれのワクチンの副反応の発現が高くなることはない」と提言しています。

3.赤ちゃんへの感染予防策

自分で感染予防ができない赤ちゃんにとって大切なのは、周囲の予防行動です。

ここからは、

  • 家の中でできること
  • 外出先でできること

…に分けて、感染予防の具体的な行動と注意点をご紹介します。

3-1.家の中でできる予防策

自宅での感染予防のポイントは「ウイルスを家に持ち込まない」「赤ちゃんの口に入る物はウイルス除去する」ことです。

具体的には、以下の点に注意しましょう。

自宅での感染予防ポイント

・帰宅時の手洗い・うがいと着替え
…衣類にもウイルスが付着している可能性があるため
…赤ちゃんにはうがいの代わりに薄めたお茶を飲ませると良い


・赤ちゃんに触れる前には手洗い
…手洗いは石けんを使って 15~30 秒間
…アルコール消毒を行うとさらに効果的


・赤ちゃんの食器やおもちゃのウイルス除去
…市販の除菌シートやスプレーを使うと良い
…ノンアルコールや無添加のものが安心

インフルエンザウイルスは乾燥した環境を好むため、加湿器を用いて湿度を保つことも予防になります。締め切った状態も良くないので、1 時間に 1 回は換気をしてください。

3-2.外出先でできる予防策

赤ちゃんを連れて外出する際の感染予防のポイントは、ウイルスから赤ちゃんを遠ざけることです。具体的には、以下の方法があります。

外出先での感染予防のポイント

・流行時期は人混みを避ける
…ラッシュ時の電車は避ける
…デパートは空いている時間帯に行く


・他人との距離を 2 m以上保つ
…感染の原因となるのは咳やくしゃみ
…1~2 m飛散するため 2 m以上近づけない事が一つの目安


・不用意に物に触れさせない
…不特定多数が触れた物にはウイルスが付着している可能性が高い

・ベビーカーにカバーを付ける
…物理的にウイルスをブロック
…また保温・保湿効果も期待できる

特に流行シーズンは、赤ちゃんを連れた不必要な外出は控えましょう。

3-3.幼いきょうだいがいる家庭での注意点

まだ目が離せない年頃のきょうだいがいる場合は、以下を注意することが赤ちゃんの感染予防になります。

幼いきょうだいがいる家庭の予防策

・咳やくしゃみをしている子は赤ちゃんに近づけない
…インフルエンザに感染している可能性もある
…室内でもマスクを着けるようにする


・赤ちゃんと飲み物や食べ物を共有させない
…食事を介してウイルスが体に入るのを防ぐ

・帰宅時、食事前、食事後は手を洗わせる
…決まり事として習慣化させると良い
…「できたらお菓子 1 つ」などゲーム感覚で身につけさせるなど工夫を

4.もし感染してしまったら

どんなに気を付けても、インフルエンザにかかってしまうことがあります。そんなときのためにここからは、感染時の赤ちゃんの症状やお世話のポイントをご紹介します。

4-1.インフルエンザを疑うポイント

次のような異変が見られたときは、赤ちゃんがインフルエンザに感染した可能性があります。

・機嫌が悪い
・ぐったりしている
・あやしても泣き止まない
・空腹のはずがミルクを飲まない
・触れるといつもより熱い

こうした場合には、早めにかかりつけの小児科を受診しましょう。

インフルエンザ,赤ちゃん  赤ちゃんのインフルエンザ治療薬について

0 歳児から服用できるインフルエンザの治療薬もある。服用することで回復までの期間を短縮する効果が期待できる。

4-2.赤ちゃんがかかったときのケア

赤ちゃんに限らず、インフルエンザ療養の基本は安静と水分・栄養摂取です。もし赤ちゃんが感染したときは、次のことを意識してお世話してください。

インフルエンザにかかった赤ちゃんのお世話

・母乳またはミルクを飲ませる
…おしっこの回数が少ない、唇が乾燥している場合は、脱水のおそれがあるため注意

・離乳食は 1 段階下げる
…食欲がないときは無理に食べさせなくても良い

・入浴は控える
…無駄な体力消耗を防ぐため
…代わりにホットタオルで体を拭くと良い


・服をこまめに替える
…汗で濡れたら、そのたびに着替えさせる

授乳する際に、赤ちゃんからインフルエンザがうつるのではと心配になる方もいるかもしれません。ただインフルエンザウイルスが乳頭から体に入ることは考えにくいので、安心して授乳を継続してください

5.まとめ

赤ちゃんのインフルエンザ対策のポイントをまとめました。

予防接種について

・満 6 か月以降から接種可能
・1~4 週間空けて 2 回接種
・外出や人に会う機会が多い子は受けたほうが良い

普段からできる対策

【室内】
・帰宅時の手洗い・うがいと着替え
・赤ちゃんに触れる前には手洗い
・赤ちゃんの食器やおもちゃの除菌

【外出先】
・流行時期は人混みを避ける
・他人との距離を 2 m以上保つ
・不用意に物に触れさせない
・ベビーカーにカバーを付ける

お子さんの月齢に合わせて、ご紹介した対策をぜひ実践してみてください。

◆ 参考文献