高熱が出てインフルエンザかもしれないけれど、すぐ病院に行けない…。

そんなとき、

「家にある解熱剤で熱を下げたい」
「前に病院でもらった薬を飲んでいい?」

…と、思う方もいるかもしれません。

インフルエンザが疑われるときは、安易に解熱剤を使わないでください。特に家にある市販薬を自己判断で飲むのは NG です。

ここでは、インフルエンザで熱があるときに、

  • 注意が必要な市販薬
  • 飲んでも良い市販薬
  • 解熱剤を使う正しいタイミング

…についてご説明します。

1.インフルエンザと解熱剤

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症で、多くの場合 38 ℃以上の高熱が出ます。風邪と違って、寒気や体の痛みと共に一気に熱が上がるのが特徴です。

こうした重い症状が出るインフルエンザでは、特に市販の解熱剤の使用には、注意が必要です

解熱剤に注意する理由
  • 市販薬に含まれる一部の解熱成分が、重症化や合併症に関係するおそれがあるため
     
  • 体内のウイルスを抑えるのに発熱が必要であり、過度な解熱はかえって治りを遅くするため

特に合併症は 1~5 歳に起こりやすいため、子どもは特定の解熱成分以外の使用を禁止されています
※ 起こりやすい合併症はインフルエンザ脳症、ライ症候群 など。

とはいえ、一律にすべての解熱剤が飲めないわけではありません。この記事では、インフルエンザのときにも飲める市販薬や薬以外のセルフケアをご紹介します。

2.解熱剤の成分について

この記事で取り上げる「解熱剤」。正式には解熱鎮痛薬といい、

  • 熱を下げる
  • 痛みを鎮める

…といった、2 つの働きを併せ持ちます。市販薬では、総合かぜ薬や頭痛薬、痛み止めにも配合されています。

また解熱鎮痛成分は複数の種類があり、成分によってはインフルエンザ時に飲まないほうが良いものがあります。

判断する方法は、商品のパッケージに書かれた「成分表示 / 含有成分」を確認すること。インフルエンザのときは、この記事でご紹介する安全性の高い解熱鎮痛成分が配合された解熱剤を選びましょう

インフルエンザ,解熱剤  以前もらった処方薬にも注意を

インフルエンザと診断されてもらった解熱剤であれば安全な成分が処方されてる。ただし、例えば風邪で処方された解熱剤や本人以外に処方された解熱剤は、飲まないように。

2-1.注意が必要な市販薬

ここからは、インフルエンザ時に使用しないほうが良い成分と市販薬をご紹介します。

インフルエンザの発熱には、「アスピリン」「エテンザミド」といったサリチル酸系の解熱鎮痛成分が、パッケージの成分表示に記載されている市販薬は使用できません
※ 処方薬のジクロフェナクナトリウム系解熱鎮痛剤(ボルタレン、ブレシンなど)、メフェナム系解熱鎮痛剤(ポンタールなど)の使用も注意喚起の対象。ただし、これらが含まれる市販薬は現在ない。

特に子どもは病院での処方を含め原則、服用が禁止されています。

これらの成分は解熱作用が強く、インフルエンザ時の服用については安全性が低いと考えられているからです。

◆ 服用できない市販薬

インフルエンザ時に使用できない解熱鎮痛成分、「アスピリン」「エテンザミド」が入った市販薬は主に、次のものがあります。

服用できない市販薬

・ノーシン【散剤、錠、細粒】(アラクス)

・ノーシンホワイト【細粒、錠】(アラクス)

・ハッキリエース a(小林製薬)

・バイエルアスピリン(佐藤製薬)

・リングル AP(佐藤製薬)

・新セデス錠(塩野義製薬)

・ナロンエース(大正製薬)

・ナロンエース R(大正製薬)

・ナロン顆粒(大正製薬)

・ケロリン(内外薬品)

・ケロリンチュアブル(内外薬品)

・エキセドリン A 錠(ライオン)

・バファリン A(ライオン) など

※ ご紹介する商品は代表的なものであり、すべてではありません。必ずパッケージに表示されている「成分表示」を確認しましょう。

2-2.安全性の高い市販薬

ここからは、インフルエンザ時にも使用できる成分と市販薬をご紹介します。

アセトアミノフェン」という解熱鎮痛成分がパッケージに記載された市販薬は安全性が高く、インフルエンザ時の使用が推奨されています。この成分は、処方薬の「カロナール」で有名なものです。

◆ 服用できる市販薬 

インフルエンザ時でも飲める解熱鎮痛成分、「アセトアミノフェン」が入った市販薬は、主に次のものがあります。

服用できる市販薬

◆ 15 歳未満

・小中学生用ノーシンピュア(アラクス)※ 7歳未満は服用対象外

・小児用バファリン CⅡ(ライオン) など

◆ 15 歳以上

タイレノール A(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

ラックル速溶錠(日本臓器製薬)  など

※ ご紹介する商品は代表的なものであり、すべてではありません。必ずパッケージに表示されている「成分表示」を確認しましょう。

市販薬には、解熱鎮痛成分以外にも添加剤などの成分が含まれています。もし、ご紹介した成分以外に不安な点があれば、薬局で相談のうえ、服用してください。

2-3.ロキソニンとイブプロフェンについて

頭痛薬や痛み止めとして有名なロキソニンやイブプロフェン。常備している方も多いかもしれません。

この2つの成分は、インフルエンザ時の服用について専門家の間でも意見が分かれています。そのため、自己判断での使用は控えたほうが良いでしょう

またインフルエンザに関わらず、ロキソニンとイブプロフェンは一般的に『大人向けの薬』です。15 歳未満は服用対象外なので、注意してください。

3.解熱剤を飲んだほうが良いケース

解熱剤の使用を判断するポイントは、『発熱による苦痛の度合い』です。

体温の目安として「38.5 ℃以上」もありますが、それだけにとらわれず、現れている症状や感じている苦痛から服用を検討してください。

解熱剤を使用した方が良い 3 つのケースをご紹介します。

① 食事ができない・眠れないほどの症状がある

食事や睡眠は、体がウイルスに対抗するための免疫力や体力を保つために必要です。

食事を摂れない、または夜に眠れないほど、

  • 関節痛や筋肉痛
  • 体のダルさ
  • 頭痛
  • 下痢や腹痛 

…といった症状が強い場合は、解熱剤を飲んだほうが良いでしょう。

② ぐったりとした状態が続いている

高熱が出ると、それだけでたくさんのエネルギーを消耗します。

特に子どもや高齢者の場合は、長時間の発熱に体が耐えられず、ぐったりしてしまうことがあります。

  • 家族の問いかけに応える元気もない
  • 病院に行く体力がなさそう

…といったときは解熱剤で熱を下げ、体力を回復させるのが良いでしょう。

③ 病院に行くまでに時間がかかる

インフルエンザでは多くの場合、発熱が 3~5 日間続きます。土日や連休を挟みすぐ病院に行けない場合は、発熱による苦痛が強いときに限って解熱剤を使うと良いでしょう

ただしインフルエンザの場合は、遅くても 2 日以内に受診してください。夜間・休日診療の病院を探す方は、「インフルエンザで病院に行く正しいタイミングと簡単な病院の探し方」の記事で、検索サイトや相談窓口をご紹介しています。

4.解熱剤以外のセルフケア

発熱しているのは、体がウイルスに対抗しているサインです。解熱剤を使わず対処する場合は、自然な発熱の経過をサポートすることが大切です。

具体的な方法をご紹介します。

寒気を感じるとき

・体を温める
…肌着や毛布を 1 枚増やす
…飲み物は常温またはホット、食事も温かいものを摂る

・ミネラル入りの水分を摂る
…経口補水液やスポーツドリンクが適している
…熱を上げきるのをサポートする


暑さを感じて汗が出始めたとき

・氷枕などで冷やす
…首、脇は解熱に効果的
…熱を持ちやすいおでこや後頭部を冷やすと気持ちよさを得られる

・濡れた肌着はすぐに替える
…惜しまずこまめに取り替えること
…濡れたままにすると体を過度に冷やしてしまう

・ミネラル入りの水分を摂る
…経口補水液やスポーツドリンクが適している
…汗で失われる成分を補う

また、体力の消耗を防ぐためにベッドで横になるなど、できるだけ安静に過ごしてください。疲労が強い方は、入浴を控えることをおすすめします。

5.まとめ

インフルエンザのときに飲む解熱剤について、まとめました。

服用できないもの

…「アスピリン」「エテンザミド」といったサリチル酸系の解熱鎮痛成分

服用できるもの

…「アセトアミノフェン」の解熱鎮痛成分


解熱剤を飲んだほうが良いケース

…発熱による苦痛が強いとき

例)
・食事ができない・眠れないほどの症状がある
・ぐったりとした状態が続いている
・病院に行くまでに時間がかかる

インフルエンザの発熱は、ウイルスに対抗するために必要なものです。

体感的な苦痛がそれほど強くなければ、ご紹介したセルフケアで対処することをおすすめします。正しくケアして、早く治しましょう。

◆ 参考文献