「具合が悪くて食欲がない…」
「風邪のとき、何を食べればいいの?」

風邪を引いたとき、たくさん食べたほうが良いのか、どのような食材を選べば良いのか、悩んでいませんか?

ここでは、

  • 風邪のときの正しい食事
  • 症状別の食事と対処法

…を中心にご紹介します。また、風邪を予防する食事も取り上げました。風邪を早く治すために、または日頃の健康促進に、ぜひお役立てください。

1.風邪とは

風邪を引くと喉の痛みや鼻水など、さまざまな症状が出ます。

過去の数々の研究によって、食と健康の密接なつながりは明らかです。まずは、

  • 風邪のタイプ
  • 食事への考え方

…を、ご紹介します。

1-1.風邪の 4 タイプ

風邪の原因は、主にウイルスや細菌です。特に疲れやストレスなどで体が弱っていると、ウイルスなどに対抗する免疫力が低下し、風邪にかかりやすくなります。

ここでは代表的な症状の違いから、風邪を 4 つに分類します

風邪の 4 タイプ

① 寒気が強いタイプ
…特に風邪の初期に多い症状
…まだ熱がなく、寒気や頭痛、関節の痛み、肩凝り、透明な鼻水、頭痛がある


② 熱が高いタイプ
…特に風邪のピークに多い症状
…喉の腫れや痛み、高熱、粘りのある黄色い鼻水や痰、喉の渇きがある

③ 咳が激しいタイプ
…特に風邪の治りかけに多い症状
…咳が強く、痰がからんで胸に重苦しさを感じるなど、普段から喉が弱い人に多く見られる

④ 腹痛があるタイプ
…通称「お腹の風邪」とよばれる胃腸型の症状
…胃のムカつきや食欲不振、吐き気や下痢などがある


※ただし、風邪は完全に 1 種類のみに区分されず、症状の進行に伴ってステージが移行しやすい

このように今現在の風邪がどのタイプかを見極め、症状別の対策をとることが大切です。

1-2.風邪を引いたときの食べ物

風邪には特効薬がありません。重要なのは、食事をはじめとした、症状に合わせた適切な対処です。基本的な考え方として、

・水分をしっかり摂る
…経口補水液またはスポーツドリンクを選ぶ
・自然な食欲に従う
…食欲がなければ一時的に水分のみで過ごす
・栄養より消化を重視
…柔らかくて温かいものよく噛んでゆっくり食べる

…を大切にしてください。

2.症状別 風邪の食べ物と対処法

ここからは、

  • 寒気が強い
  • 熱が高い
  • 咳が激しい
  • 腹痛がある

…の、4 つの症状別の食事とセルフケアをご紹介します。

2-1.寒気が強い風邪

寒気が強い風邪では、とにかく体を温めることが大切です。このタイプは暖房を付けても布団を被っても、何をしても背筋にゾクゾクする寒気を感じます。

寒気が強いときの食事

白菜大根などの冬野菜や、殺菌作用のあるネギ玉ねぎを選ぶ

ニンニク湯生姜湯味噌汁など体が温まる飲み物を選ぶ

・食欲がない場合は無理に摂ろうとしなくても良い


セルフケアは…

・部屋を暖房で暖める
・肌着や毛布の枚数を増やす
・首の後ろにカイロやホットタオルを当てる

食事を用意する手間が惜しいときには、卵酒(よくかき混ぜた生卵に、温めた日本酒を加えたもの)を作って飲むのもおすすめです。

2-2.熱が高い風邪

熱が強く出ている風邪は、汗をかくことが大切です。それと同時に不足する水分を補う必要があります。

高熱が出ているときの食事

・解毒作用のある酢を使った料理や、きゅうりトマトなどの夏野菜が良い

ミントティー果物を使ったジュースなど、熱を取る飲み物を選ぶ

・食欲がなくても、脱水予防に水分だけはしっかり摂る


セルフケアは…

・こまめなうがいと手洗いを心がける
・部屋を換気する
・汗をかいたら早めに肌着を交換する

特に喉が腫れ上がって痛みが激しければ、ゼリー飲料が口に合いやすいでしょう。

2-3.咳が激しい風邪

咳は乾燥によって悪化しやすいため、喉を潤すことが大切です。

咳が激しいときの食事

レンコン大根など、咳を静める作用のある食材を選ぶ

を皮ごと蒸したものや、銀杏入りの茶碗蒸し杏仁豆腐などが良い

・あんかけなど、とろみがあるものも効果的


セルフケアは…

・常にマスクを着用し、喉の乾燥を防ぐ
・加湿器または濡れタオルを干す
・咳をするときは、できるだけ小さく細かく

こまめに水分を補給したり、大声を出すのを控えるなど、喉を労る意識が大切です。また高熱がなければ、入浴で体を温めることをおすすめします。

2-4.腹痛がある風邪

下痢や吐き気があるタイプは、一般的に「お腹の風邪」や「胃腸風邪」とよばれます。

時間の経過と共に自然治癒する場合が多いため、自宅での過ごし方が重要。特に、胃腸にやさしい食生活と自然な排泄を促すことが大切です。

腹痛があるときの食事

・おう吐や吐き気があるときは食事を控え、水分補給を優先する

・吐き気が落ち着いたら、おかゆうどんなど消化に良いものを摂る

・胃腸の痛みを和らげるサンショウや、解毒作用のあるシソも効果的


セルフケアは…

・トイレを我慢しない
・横になるなどできるだけ安静に過ごす
・背中やお腹をさする

このタイプは胃腸を休めることが回復につながるため、症状が出ている間の食事は控えてください

また、いつでもトイレに行ける環境であれば、下痢止め薬は使わずよく出し切ることが大切です。

3.高齢者・子ども・一人暮らしの療養食

ここからは食べ物を受け付けない場合や、調理の余裕がない方のために、

  • 高齢者
  • 子ども
  • 一人暮らし

…に向けた、それぞれのおすすめメニューをご紹介します。

◆ 高齢者に適した療養食

高齢者が風邪を引いたときは、

・食事が喉を通らない
・お茶を飲もうとしただけでもむせて咳き込む

…といった傾向があります。

これは加齢によって、体の反射機能や飲み込む筋力が衰えるため。ゆっくりと喉を通すために、とろみのある食べ物がおすすめです。

片栗粉デザート

【材料】
・片栗粉…大さじ 2 ※葛粉(くずこ)でも可
・黒砂糖…大さじ 1
・水…大さじ 2
・熱湯…150 cc

【作り方】
① 片栗粉と黒砂糖を混ぜる
② 少量の水(大さじ 1)を入れて解く
③ 熱湯を 8 分目くらいまで入れ、スプーンで混ぜれば完成

◆ 子どもに適した療養食

子どもが風邪を引いたときは、

・発熱しやすい
・脱水になりやすい

…といったことに注意が必要です。そのため食事では、発熱でぐったりしていても効果的に水分と栄養を摂れるりんごがおすすめ

すりおろしホットりんご

【材料】
・りんご…1 個

【作り方】
① 林檎をよく洗い、皮ごとすりおろす
② 電子レンジ 500 Wで 2 分間加熱すれば完成


※生のままでも良いが、加熱によってペクチン(喉の粘膜を保護する成分)が増加する

◆ 一人暮らしに適した療養食

一人暮らしで風邪を引いて、

「食事を用意する時間がない…」
「食べたいけど作る気になれない…」

…といったときには、コンビニの食べ物で済ませるのも一つの手です。

手軽に食べられるコンビニ食品

・レトルトのおかゆ
…弱っている胃腸でも受け付けやすい

・ゼリー飲料
…手早くカロリー補給できる

・野菜ジュース
…ビタミンが多く、栄養が吸収されやすい

・茶わん蒸し
…必要な栄養素が多く含まれている

・鍋焼きうどん
…喉を通りやすくさまざまな食材を一度に摂れる

4.風邪を予防する食事

ここからは風邪を引いたときではなく、風邪の予防に役立つ食事について、

  • 食材の選び方
  • 食事量と栄養バランス

…を、ご紹介します。

◆ 食材の選び方

健康な体づくりには、その季節が旬の食材を摂ることが効果的です。

旬の食材は、

・その時季に起こりやすい体調不良をカバーする
・体に不要なものを排出し、足りないものを補う

…といったメリットが期待できます。

春が旬の食材

・アスパラガス、たまねぎ、たけのこ など
…体をリラックスさせて体力を補う
…冬に滞った血行を良くする

夏が旬の食材

・オクラ、トマト、きゅうり など
…体内の余分な水分を取り除く
…胃や腸の働きを整える

が旬の食材

・さといも、ごぼう、れんこん など
…寒さに強い体をつくる
…食べすぎを抑える

が旬の食材

・大根、かぼちゃ、にんじん など
…喉や鼻を乾燥から守る
…血行を促し体を温める

また、味噌や納豆などの発酵食品を取り入れることも、免疫力の維持につながります。

◆ 食事のバランスについて

  • 風邪,食べ物
    厚生労働省

必要なカロリーは、年代や体質、生活習慣などによって異なるため、自分に合った食事回数や量を心がけることも風邪予防の一つです。

食材による栄養バランスは、一日の食事量全体を 100 %としたときに、次のような割合で取り入れることをおすすめします。

一日に摂るべき食事のバランス

・主食 30 %~35 % 程度
…ごはん、パン、麺類など

・副菜 25 %~30 % 程度
…野菜、きのこ、いも、海藻料理など

・主菜 20 % 程度
…肉、魚、卵、大豆料理など

・乳製品 10 % 程度
…牛乳、チーズ、ヨーグルトなど

・果物 10 % 程度
…みかん、林檎、柿など

※ 健康な大人向けであり、成長中の子どもや体が弱っている高齢者、特定の疾患がある人などは当てはまらないため注意
※ 厚生労働省と農林水産省の共同により策定された『食事バランスガイド』を参考に、編集部にて作成

ただし、あまりにも意識しすぎな食事制限を設けては窮屈です。食べすぎたり、偏った食事になったときには、『翌日で調整する』くらいの感覚が良いのではないでしょうか。

5.まとめ

風邪を引いたときの食事について、まとめました。

寒気が強いとき
  • 白菜や大根などの冬野菜
  • たまねぎやネギなど鼻にツンとくる野菜
  • ニンニク湯や生姜湯など体が温まるもの

高熱が出ているとき
  • 解毒作用のある酢
  • きゅうりやトマトなどの夏野菜
  • ミントティーやジュースで水分補給

咳が激しいとき
  • レンコンや大根などの根菜
  • 梨や銀杏、杏仁豆腐など咳を鎮めるもの
  • あんかけなどトロトロしたもの

腹痛があるとき
  • 吐き気があるうちは無理に食べない
  • おかゆやうどんなど消化に良いもの
  • 胃痛を和らげるサンショウ、解毒作用のあるシソ

風邪を引いて具合が悪いときに私たちはつい、風邪薬や解熱剤で出ている症状を抑えることだけを考えがちです。

しかし薬だけに頼るのでなく、食事やセルフケアで症状を和らげ、うまく風邪をやり過ごすことが、理想的な治し方ではないでしょうか。

◆ 参考文献